動画を日常的に視聴する人が増える中、日本で最も影響力のある動画プラットフォーム「YouTube」をマーケティングに利用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
YouTubeには動画をアップロードして公開する以外にもさまざまな活用法があります。YouTubeの特性を活かすことで効果的なマーケティングを行えるため、導入している企業も多いです。
本稿では、YouTubeのマーケティング方法の種類や活用例、メリットなどについて紹介します。
目次
YouTubeマーケティングとは?
YouTubeは人気のある動画プラットフォームで影響力も高いです。国内では、月間アクティブ数が6,500万人を突破しています。YouTubeを利用する「YouTubeマーケティング」の意味や方法について明らかにします。
YouTubeマーケティングって?
「YouTubeマーケティング」とは、動画配信サービスのYouTubeをマーケティングに利用する方法です。自社の活動や製品・サービスを動画チャンネルで紹介したり、広告を配信したりすることで認知度を高められます。
YouTubeの視聴者層は子供から大人まで幅広いため、YouTubeを使うことでテレビと同様に広い層に向けてアピールできます。さらに、ターゲット層を細かく絞り込んでのアプローチも可能であるため、より成果につながるでしょう。
YouTubeマーケティングの3つの戦略
YouTubeマーケティングは、主に次の3つの戦略を意識することで実現できます。
①動画広告
②動画配信(チャンネル運営)
③案件動画(YouTuber、インフルエンサーの活用)
「動画広告」は、動画を作成して広告として配信する方法です。テレビCMのように短時間で多くの情報をユーザーに提供でき、認知度の向上に効果があります。また、さまざまな世代から人気があるYouTubeを活用した広告では、コンバージョン獲得を目的としているアクションキャンペーンの活用も可能です。
「動画配信」は、自社でYouTubeの動画チャンネルを運営し、ターゲット層に向けた動画の公開を定期的に行うことで、ファンの獲得が狙えます。
「案件動画」は、YouTuberやインフルエンサーなどに依頼して自社製品・サービスを紹介してもらう方法です。独自の視聴者層を持つ配信者を通した情報発信は、新しい層への認知を広げる効果があります。
これらを組み合わせてマーケティング戦略を実施するのがYouTubeマーケティングです。
企業がYouTubeマーケティングを行うべき理由
なぜ、多くの企業でYouTubeマーケティングを活用しているのでしょうか。企業でYouTubeが注目されている理由を、以下にて紹介します。
動画コンテンツの需要が高い
KDDI社が2021年3月に行った調査ではスマホの主な利用用途を「動画視聴」と回答した人が66%と半数以上を占めています。また、スマホで動画コンテンツを見ている人は、全体の80%でした。
引用元:TIME & SPACE「2021年度:18〜22歳のスマートフォン利用実態調査|1日の動画視聴時間は?」
また、2018年の総務省の発表では、76.4%の人がYouTubeを利用していると回答しています。特に10~20代では90%以上、30~40代では80%以上と若年層における利用率の高さが顕著です。
引用元:総務省「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
上記のことから多くの人が動画コンテンツを日常的に視聴していることがわかるでしょう。その中でも、特に利用者が多いプラットフォームであるYouTubeで動画コンテンツを公開することで高い効果を期待できます。
動画広告の市場拡大
動画広告の市場拡大は、その広告効果が広告主から評価されていることを示します。
サイバーエージェント社が毎年定期的に行っている国内の動画広告市場調査によれば、右肩上がりで市場規模が大きくなっています。特に2021年はコロナ禍の影響がプラスに働き、前年対比で142%と動画広告市場は大きな成長を見せました。
今後も成長は続くと見込まれ、2025年には市場規模は現在の倍以上である1兆円を超えると予想されています。
引用元:サイバーエージェント「サイバーエージェント、2021年国内動画広告の市場調査を発表」
YouTubeマーケティングを行うメリット/デメリット
企業でYouTubeマーケティングを行うメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
以下では、メリットとデメリットに分けて解説します。
YouTubeマーケティングを行うメリット
企業でYouTubeマーケティングを行うメリットは次の通りです。
●動画コンテンツが資産となる
質の高い動画コンテンツを作り、YouTubeで公開を続けていけば、動画コンテンツそのものが資産となって、利益に貢献してくれるようになります。動画は宣伝だけでなく、製品マニュアル、FAQなど多くの機能を果たしてくれるでしょう。
●効果的なターゲッティングができる
YouTubeを通して動画の視聴に関するさまざまなデータを取得できるため、マーケティングの精度向上も期待できます。Webサイトのアクセス解析と組み合わせることで、より効果的なインターネットマーケティングが行えるでしょう。
●広告配信は短期に多くのユーザーに接触できる
YouTubeでは、不特定多数への広告やターゲットを絞り込んだ広告を配信できます。YouTubeを利用する多くの視聴者に広告を配信することで、短期間でも多くの人に視聴してもらえるでしょう。
●他コンテンツへの導線となる
動画は情報量が多く訴求力が高いため、製品やサービスを提供するサイトや企業サイト、ブログ、SNS、他の動画などのコンテンツへ効率よく誘導できます。確実に成果につながるよう、誘導先コンテンツも整備しておくとさらに効果的です。
●ブランディングにも有効
動画は、文字だけでは伝わりにくい情報も、音声や映像を使って伝えることができるため、記憶に定着しやすいといえるでしょう。そのため、企業や製品・サービスのブランディングにも効果的です。動画を通したブランディングを行っていけば、認知の向上やファンの獲得といった効果も期待できます。
YouTubeマーケティングを行うデメリット
上述の通り、YouTubeマーケティングを行うことで多くのメリットを得られますが、デメリットもあるため、事前に理解しておくべきでしょう。デメリットとして挙がることが多いのは次の2点です。
●動画の制作が必要(時間、費用がかかる)
YouTubeは動画を中心としたプラットフォームであるため、ほとんどのケースで動画の制作が必要です。動画の制作には、時間や費用がかかりますので、継続的に行う場合は、企業にも相応の態勢が求められるでしょう。
●炎上するリスクがある
YouTubeの動画は拡散力が高いため、多くのファンを作る可能性もありますが、アンチ(反対意見を持つ人)を作る可能性もあります。特に注意しなくてはならないのは、動画の内容が原因で炎上が起こってしまうことです。動画の内容はコンプライアンスに注意し、炎上が起きないよう、当たり障りのない動画を制作するように心がけましょう。
YouTubeマーケティングの成功事例
他社では、どのようなYouTubeマーケティングが行われているのか、気になる方も多いでしょう。ここでは、YouTubeマーケティングを行っている企業の中から、成功した事例を紹介します。成功した事例を見ながら、自社で活かすことができないか、確認してみてはいかがでしょうか。
北欧、暮らしの道具店様
ECサイトを運営している北欧、暮らしの道具店様の公式チャンネルです。ルームツアー動画やルーティーン動画、レシピ動画を通して情報発信を行うだけでなく、オリジナルドラマの制作・配信を行っているところが大きなポイントです。
100万回再生超えの動画も多くあり、YouTubeチャンネルを活用したマーケティングの成功事例といえるでしょう。
北欧、暮らしの道具店:https://www.youtube.com/channel/UCb-cMiVs0yGmi2IPmowLC5Q
RIZAP様
パーソナルトレーニングで有名なRIZAP様のYouTubeチャンネルでは、自宅でできるトレーニングや栄養に関する情報を提供しています。
動画を公開することで、新規顧客にリーチしたり、既存顧客の目的達成をサポートしてロイヤルティを高めたり、といった効果が期待できます。
動画のターゲティングや、タイトルの付け方など細かいところまで徹底されており、マーケティングの参考になる事例です。
特に有名なのが、音楽に合わせてビフォーアフターを紹介する動画です。実際に痩せた人をキャスティングすることによって、信用性が増し、多くの人に刺さった動画だといえます。
RIZAP公式チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCl3KNzEZkai5e9WQryNOjGA
琉球バス交通様
YouTubeでは、アイデア次第で地方の企業や、規模の小さい企業でも成功できます。
沖縄県のバス事業者である、株式会社琉球バス交通様では、コロナ禍で観光利用が低迷する中、YouTubeで観光名所の紹介やバーチャル観光ツアー動画を提供し、認知度の向上に成功しています。
同社のように、自社ならではのコンテンツを持つ企業は、ファンがつきやすいので、独自性を持ったコンテンツとなりうるものはないか探してみるとよいでしょう。
那覇バス・琉球バスch:https://www.youtube.com/c/%E9%82%A3%E8%A6%87%E3%83%90%E3%82%B9ch
ジョブカン様
昨今のビジネス業界では、コロナ禍におけるニューノーマルな働き方がさまざまな企業に認知されるようになりました。そんななか、株式会社DONUTS様では、企業形態に合わせた勤怠管理システムである、ジョブカンを提供しています。
社会情勢の変化にマッチしたサービスであることのほかにも、著名人をキャスティングすることで、より多くのユーザーにリーチしたといえるでしょう。
ジョブカン【jobcan】:https://www.youtube.com/channel/UCu6f0G1jphowi7gwCOol7SA/videos
YouTubeマーケティングの5つの成功ポイント
YouTubeマーケティングで成功するためには、どのような点を意識したらよいのでしょうか。成功する企業に見られるポイントを5つにまとめました。
①YouTubeの仕組みやマーケティング戦略を理解する
YouTubeマーケティングに成功するためには、YouTubeの仕組みや動画マーケティングをしっかり理解することが大切です。ターゲットの設定やKPI設定などをしっかり行い、PDCAで効果を高めましょう。
YouTubeもWebサイトと同様に、多くの人に見てもらうための施策が必要です。そのためのノウハウは「VSEO」と呼ばれています。VSEOについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
また、YouTubeチャンネルでは登録者数が増えれば、マーケティング効果をより高めることができます。では、どうやって登録者数を増やすのでしょうか。登録者数を増やすためのノウハウは、以下の記事で詳しく紹介しています。
YouTubeの動画広告は種類も多く複雑ですが、上手に使えば低コストで高い広告効果を期待できるでしょう。動画広告のノウハウは、以下をご参考ください。
②質の高い動画を作る
YouTubeで公開する動画は、広告として配信する動画でも動画チャンネルで定期的に公開する動画でも、見てもらって終わりでは意味がありません。
動画は最後まで視聴してもらったうえで、商品購入や問い合わせなどの行動につなげることを意識しましょう。行動を促すためには、動画が面白いことはもちろん、視聴者の心理をよく考え、行動を促すように高品質の動画を作ることが大切です。
自社に動画制作のためのリソースがない場合は、プロに外注することも検討しましょう。
③他コンテンツと連携させる
YouTubeマーケティングでは、自社の持つWebサイトやブログ、SNSといった他コンテンツとの連携が成功のポイントです。それぞれのコンテンツの特徴を活かして情報を拡散することで、多くのターゲットに接触できるでしょう。
ただし、コンテンツが変わってもブランドイメージの一貫性が保たれるように、発信する情報や表現はしっかり管理する必要があります。
④他者を巻き込んでいく
YouTubeマーケティングでは自社から情報を発信するだけでなく、他者を巻き込むための施策も考えていきましょう。
個人でもSNSを通して情報を拡散できるため、そういった他者の力も借りることで広い範囲に情報が拡散できます。自主的に情報の拡散を行ってくれるユーザーを増やすことで、より広い層へのリーチが可能です。
動画へのコメントを分析して、視聴者からの意見を次のコンテンツで反映させることや、コメント内容に関するアンサーをSNS、ブログなどで発信することで、視聴者とのコミュニケーションが生まれてファンの獲得・育成につながります。
すでにYouTubeで影響力を持っているインフルエンサーや企業と協力できれば、従来とは違った層にもリーチできるでしょう。
⑤マーケティング用ツールの活用
マーケティングではデータの取得・分析が大切ですが、YouTubeマーケティングに使えるツールもいくつかありますので上手く利用しましょう。おすすめのツールを紹介します。
●YouTube Studio:公式の分析ツール
YouTube Studioは公式が提供しているツールで、アナリティクス機能などを通して視聴者の動向や収益状況などチャンネルに関する多くの情報を入手できます。無料で使用できるため、使用しない手はないでしょう。
公式URL:https://www.youtube.com/
●NoxInfluencer:自分と競合の評価を可視化
NoxInfluencerは、動画チャンネルの分析やインフルエンサー探しに使えるツールです。動画のコメントからの感情分析や、キャンペーンの効果測定も行えます。
プランの期間は、月額、4半期、年間と分かれており、それぞれ料金も異なります。また、プラン内容も基本版・プロ版・ビジネス版の3種類で、自分に合ったプラン内容を選択可能です。
月額の場合、基本版は99$、プロ版は299$、ビジネス版は499$となっています。それぞれのプラン内容でできることが違ってくるので、利用する際は、事前に確認しておくようにしましょう。
公式URL:https://jp.noxinfluencer.com/
●ahrefs(キーワードボリューム分析)
ahrefs(エイチレフス)はSEO分析ツールで、YouTubeでのキーワードも分析可能です。動画と関連するキーワード候補も自動で選定してくれるため、企画作りが効率化されるでしょう。
料金は、申し込むプランによって異なります。プランにも種類があり、ライト・スタンダード・アドバンスド・エージェンシーの4種類です。それぞれの料金は、月額の場合、ライトは99$、スタンダードは179$、アドバンスドは399$、エージェンシーは999$となっています。
公式URL:https://ahrefs.com/ja
YouTubeマーケティングで企業や商材の認知を広げよう
人気の高い動画プラットフォームYouTubeは企業や商材の認知度を高めるために効果的です。スマホでの動画視聴者の増加やコロナ禍などによる動画コンテンツの需要拡大もあり、YouTubeマーケティングは時代に合ったマーケティング方法として注目されています。
YouTubeマーケティングを行うには、ノウハウが必要です。弊社プルークスでは、高品質の動画制作はもちろん、動画のマーケティング企画から相談・サポートまで対応可能です。動画マーケティングに関する悩みがあれば、ぜひプルークスへご相談ください。