動画マーケティングを行う企業が増えるなか、マーケターたちの注目を集めているのがYouTubeの新サービスであるYouTubeショート動画です。
YouTubeショート動画は、一般的なYouTube動画とは収益化条件が異なり、広告収入から収益を得ることは現状では難しいでしょう。しかし、YouTubeショートを上手く活用することで、企業は大きな集客効果を得られる可能性があります。
本記事では、YouTubeショート動画の基本的な解説や収益化条件、企業における活用方法などについて解説します。
目次
YouTubeショート動画とは?YouTubeとの違い
YouTubeショート動画と通常のYouTube動画には、どのように違いがあるのでしょうか。以下にて、サービス内容や特徴などを確認してみましょう。
YouTubeショート動画とは?
YouTubeショート動画とは、時間(最大60秒まで)の制限があるYouTube動画を指します。日本では2021年の7月よりサービスが開始されました。
TikTokのように縦長のフォーマットで、スマホとYouTubeアプリがあれば簡単にショート動画の制作・投稿や、閲覧ができるという手軽さから人気が高まっています。
また、近年では短時間で効率的に動画を楽しみたいというユーザーが増え、ニーズが高まっているといえるでしょう。しかし、登場してから日が浅いため、参入企業やYouTuberが少なく、新たなマーケティングの場としても注目されています。
YouTubeショート動画の特徴と投稿フォーマット
次の表のように、YouTubeショートは通常のYouTube動画と比べて、スマホでの投稿・閲覧を意識したフォーマットになっています。
YouTubeショート | 通常のYouTube動画 | |
アスペクト比 | 縦長or正方形 | 縦長or横長or正方形 (横:縦=16:9を推奨) |
時間 | 60秒以内 | 最長12時間or256GBまで (アカウント確認までは15分以内) |
YouTubeショート動画の閲覧時には、スクロールするだけで次のおすすめ動画へスムーズに切り替えができるショートフィードを使えます。ページや動画のリロード時間が少なく、短時間で効率的に多くの動画を視聴できる点が通常のYouTubeとの違いといえるでしょう。
YouTubeショート動画のメリット・デメリット
YouTubeショート動画を企業が活用するうえで、メリットやデメリットの把握が欠かせません。以下では、主なメリット・デメリットについて解説します。
YouTubeショートのメリット
YouTubeショートには次のようなメリットがあります。
- YouTubeショート動画専用のレコメンド機能(ショートフィード)により、多くの視聴者にリーチしやすい
- 動画の再生数やチャンネル登録数が伸びやすい
- 動画の撮影や編集が簡単で、動画投稿者の負担が少ない
- 参入がまだ少なく、YouTube参入に遅れていてもチャンスがある
- 15秒までであればYouTubeの音源を利用可能
- スマホ画面では自動的に最大化表示になり、没入感の高い魅力的なコンテンツにできる
ショートフィードはTikTokのように、関心があると思われるショート動画を次々とAIが紹介してくれる機能ですが、どのような情報に基づいてレコメンドが行われているかは公開されていません。
そのため、SEOによる再生数アップのような対策は難しいですが、通常のYouTube動画ではリーチできなかった層に動画やチャンネルの認知を広げられる可能性があります。
YouTubeショートのデメリット
YouTubeショートでは、次のようなデメリットもあります。
- ショートの視聴者はショート動画で完結しやすく、メインの動画までの誘導が難しい
- 収益に繋がりにくい
- まだ情報が少なく、ノウハウが確立されていない部分が多い
YouTubeショートには、通常の動画投稿のように動画の説明や関連サイトなどを紹介する概要欄がありません。動画の画面上にタイトルとチャンネル名、チャンネルへのリンク、チャンネル登録ボタンがあるのみです。
そのため、商品購入や問い合わせ獲得のためにECサイトや自社サイトに繋げたいケースでは、一度チャンネルやチャンネル内の他動画を経由する必要があります。ステップ数が多くなると離脱者が増えるため、コンバージョンを目指すには不向きでしょう。
YouTubeショート動画の収益化について
YouTubeショートは再生数を増やしやすいため、動画の収益化について関心がある人も多いでしょう。しかし、YouTubeショートでは、通常のYouTube動画のように広告を掲載できないため、収益化は簡単ではありません。
YouTubeショート動画 | 通常のYouTube動画 | |
収益獲得方法 | YouTubeショートファンド | Google広告 (YouTube広告) |
金額 | 100~10,000米ドル/月 (テスト期間中により変動あり) |
0円~上限なし (受け取りは8,000円以上から) |
収益化の条件 | ・過去180日で最低一本のショート動画の投稿 ・チャンネルがYouTube のコミュニティガイドライン、著作権ルール、収益化ポリシーを遵守している ・投稿した動画がオリジナルのコンテンツである。(SNS、映画、テレビ番組などからの流用ではない) ・クリエイターが18歳以上(日本の場合) |
・チャンネルがYouTubeのチャンネル収益化ポリシーとコミュニティガイドラインを遵守している ・公開した動画が直近12 か月間で4,000時間以上再生されている ・チャンネルの登録者数が1,000人以上である |
YouTubeショートファンドとは、YouTubeがコミュニティの活性化に貢献したチャンネルのための基金です。毎月ショート動画を投稿したすべてのチャンネルに報奨金が提供されますが、基準やレコメンドの仕組みが不明であるため、高い報酬を狙うことは難しいでしょう。
そのため、企業でショート動画を活用する場合は、ショートファンドから収益を得るのではなく、チャンネル登録数の増加や通常のYouTube動画への流入を促すツールとしての利用することをおすすめします。
YouTubeショート動画を制作するコツ
視聴者に刺さるYouTubeショート動画を制作するためには、次のポイントを意識するとよいでしょう。
・冒頭で視聴者を引きつける
YouTubeショート動画は、動画のスキップが簡単にできます。視聴離脱されないためにも、冒頭の数秒で視聴者を引き込みましょう。
・テンポのよい動画にする
視聴者を飽きさせないようにテンポよく進む動画にしましょう。短い時間のなかでも、メリハリをつけて伝えたい要点を絞るようにします。
・コメント、高評価を獲得する
ショート動画にも、コメントや高評価をつけることは可能です。得はしても損をすることはないため、コメントや高評価をもらえる動画づくりを目指しましょう。
・チャンネルやメイン動画への誘導を意識する
企業の場合、売上や問い合わせに繋げるためには、チャンネルやメイン動画への誘導を意識した動画制作が必要です。
・TikTok用の動画をショート動画でも利用する
同じ縦型フォーマットのTikTokのために制作した動画があれば、YouTubeショートに投稿することも可能です。この場合、ショートファンドの条件からは外れることを理解しておきましょう。
また、YouTubeショート動画をTikTokに投稿することも可能です。
YouTubeショート動画の活用事例
YouTubeショート動画を先行している企業において、どのように活用されているのでしょうか。以下にて事例を見てみましょう。
・商品紹介、使い方紹介
商品の紹介や使い方のレクチャーでショート動画を活用している企業があります。
株式会社資生堂様では、商品の外観や質感などをアピールし、実際にメイクをしているシーンを通して使用イメージを高めています。短い時間のなかで訴求するポイントをしっかり絞りこんでいることが特徴です。
森永製菓株式会社様では、「ハイチュウ」の簡単な開け方についての裏技を紹介するショート動画です。商品を使ううえでの悩みや困りごとについての解決策を示し、驚きとお得感を与えることで「ぜひやってみたい!」と思わせてくれます。
・集客、ブランディング
集客やブランディングを目的としたショート動画では、視聴者に強い印象を残すことで、その後のビジネスへの導線になるでしょう。
株式会社日垣商店様が運営している焼鳥どんの「飲食店あるある」ショート動画は、お店を舞台としたショートコント動画で人気の高いコンテンツです。お店の楽しい雰囲気や活気をアピールすることでブランディングにも効果的で、「こんな面白いスタッフのいるお店なら一度行ってみたい」と思わせてくれるため、集客効果も期待できます。
エン・ジャパン株式会社様では「【絶対ダメ!】気をつけておきたいハラスメント図鑑」というシリーズでショート動画を投稿しています。社会的に関心が高まっている各種のハラスメントをユーモラスに表現することで注目を集めつつ、人材を大事にする企業としてのブランディング効果も期待できるでしょう。
・作品、実績紹介
デザインや映像などのクリエイティブ分野では、制作実績を紹介するためにショート動画を活用できます。
上記は弊社で制作した、スピンシェル株式会社様のSNSアプリ「Snapchat」のブランディング映像を、制作実績として紹介しています。短い時間でインパクトを残せるようなシナリオ、強い印象を与える文字の入れ方など、細かな部分にこだわって制作しました。
YouTubeショート動画を動画マーケティング戦略に取り入れよう
YouTubeショート動画は、再生時間が短いため効率よく視聴できるサービスですが、活用している企業は、そこまで多くありません。そのため、動画マーケティングをこれから始める企業にとって先駆けることも可能です。YouTubeチャンネルへの導線や認知獲得施策として活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。
プルークスでは、動画マーケティングや動画制作に関して多くの実績とノウハウを持っています。動画マーケティング戦略の立案や、動画の企画や制作、運用までを一気通貫でサポートできますので、動画マーケティングでお悩みの企業様は、ぜひご相談ください。
YouTubeショート動画に関してよくあるQ&A
以下では、YouTubeショート動画に関してよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Q. YouTubeショートとは何ですか?
A. YouTubeのサービスの1つで、60秒以内の短い動画の投稿や視聴ができるサービスです。
従来のYouTubeと比較して大きく次の特徴があります。
・投稿できる動画は最長で60秒まで
・スマホ利用を意識した縦長のフォーマットになっている
・ショート動画専用のショートフィード経由での再生が多い
・通常のYouTube動画と収益化の仕組みが異なる
Q. YouTubeショートのメリットは?
A. YouTubeショートの主要なメリットには次のようなものがあります。
・多くの視聴者にリーチしやすい
・再生数やチャンネル登録数が伸びやすい
・動画投稿の負担が少ない
Q. YouTubeショートのデメリットは?
A. YouTubeショートの一般的なデメリットは次の通りです。
・ショートの視聴者はメインの動画をあまり見てくれない
・収益に繋がりにくい
・情報が少なく、ノウハウが確立されていない部分が多い
Q. YouTubeショートの最低、最大の再生時間は?
A. YouTubeショート動画の再生時間は最大で60秒です。最低は決まっていません。