スマートフォンを縦に持ったまま視聴できる「縦型動画」。多くのSNSで採用され、マーケティングにも欠かせない存在になりつつあります。「従来の横長動画と何が違うの?」「どうやって作ればいいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、縦型動画の特徴や活用シーン、メリット・デメリットを詳しく解説します。さらに、作り方や成功事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
縦型動画とは
従来、映画やテレビでは横長の動画が主流でしたが、2020年代に入り、SNSを中心に縦型動画が急速に普及しました。現在では、Instagramの「リール」やYouTubeの「ショート」など、縦型動画に特化した機能が多くのプラットフォームで活用されています。
縦型動画の最大の特徴は、スマートフォン(スマホ)の画面比率に近い「9:16」であることです。スマホを横向きにする必要がなく、手軽に視聴できるのがメリットです。
この形式が普及した背景には、特に若い世代を中心に「短時間で効率よく情報を得たい」というニーズの高まりがあります。その結果、多くの企業やインフルエンサーが、商品PRや情報発信の手段として積極的に活用しています。
縦型動画のメリット
縦型動画には横長動画にはない多くのメリットがあります。具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。以下で、3つのメリットを詳しく解説します。
スマホユーザーへのリーチ力が高い
縦型動画は、スマートフォンの画面比率に最適化されており、スマホを横にする手間がないため、視聴のハードルが低く、最後まで見てもらいやすいのが特徴です。現在、スマホは一人一台の所有が当たり前となり、特に若年層の利用時間は増加傾向にあります。長時間スマホを利用するユーザーに気軽に視聴してもらえるため、再生回数の増加も期待できるでしょう。
実際、TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなど、若い世代に人気のSNSでは、縦型動画が主流になりつつあります。
このように、縦型動画はスマホユーザーの行動パターンにフィットし、効果的にアプローチできるフォーマットとして注目されています。
制作コストが低い
縦型動画には、従来の横型動画に比べて制作コストを抑えられるというメリットがあります。なぜならば、高価なカメラや編集ソフトを使わなくても、スマホ1台で手軽に撮影できるからです。また、縦型動画は短尺のものが多く、撮影や編集にかかる時間や手間も少なくて済みます。SNS向けに簡単なテキストやエフェクト(特殊効果や加工)を加えるだけで、それなりに魅力的な動画が完成します。
専門的な編集技術や知識がなくても挑戦しやすくて、気軽に発信できるのが縦型動画の大きな魅力です。低コストで効率よくコンテンツを作れるので、個人や企業にとっても活用しやすいと言えるでしょう。
没入感を与えやすい
動画を楽しんでもらうには、視聴者がまるでその世界に入り込んだような没入感を味わえることが重要です。その点、縦型動画はスマホの画面全体を活用できるため、映像の世界に引き込みやすいというメリットがあります。
特に、9:16の比率は視界の大部分を映像が占めるため、余計な情報が入りにくく、自然とコンテンツに集中しやすくなります。また、縦型動画は視線の流れに沿った構図を作りやすく、被写体を画面いっぱいに映し出すことで、臨場感や迫力をより強く演出できます。
こうした特性から、視聴者が最後まで集中して視聴しやすいのも、縦型動画の大きな魅力のひとつです。
縦型動画のデメリット
縦型動画にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
情報量が少ない
縦型動画は画面の横幅が狭いため、一度に表示できる情報量が限られるというデメリットがあります。特に、複数の人物が映るシーンや、横長の撮影素材を使う場合は、画面に収めるのが難しくなることがあります。
また、細かい文字や図を含む内容は視認性が下がり、情報が正しく伝わりにくくなる可能性もあります。さらに、縦型動画は1分程度の短尺が主流なため、限られた時間内で伝えられる内容にも制約があるのが課題と言えます。
横型動画との使い分けが必要
縦型動画には多くのメリットがありますが、すべてのシチュエーションに適しているわけではありません。例えば、映画やドラマのように背景やストーリーをじっくり伝えたい場合や、細かい情報を含むプレゼン資料のようなコンテンツには、横型動画が適しているでしょう。
また、YouTubeでは長尺の動画が好まれる傾向があり、視聴環境によっては縦型よりも横型のほうが効果的な場合もあります。それぞれの特性を理解し、目的に応じて適切に使い分けることが重要です。
縦型動画の活用シーン
ここからは、縦型動画をどのようなシーンで活用できるのか、具体的に見ていきましょう。
SNSでの広告配信
縦型動画はスマホでの視聴に適しているので、SNS広告として高い効果を発揮します。TikTokやInstagramリール、YouTubeショートでは縦型動画がアルゴリズム上優遇される傾向があり、特にユーモアやトレンドを取り入れた広告は、他のユーザーにもシェアされやすいのが特徴です。
また、SNSのタイムライン上では、縦型動画が自然に溶け込みやすく、ユーザーは違和感なく視聴する傾向があります。短時間でインパクトを与えられるため、ブランドの認知向上や購買意欲の喚起にも効果的と言えます。さらに、タップ一つで詳細ページへ誘導する仕組みを活用すれば、広告から直接購入や登録につなげることも可能です。
商品紹介・サービス紹介
縦型動画は、商品やサービスの魅力を短時間でわかりやすく伝えるのに適しています。視聴者に伝えたいポイントを絞り込むことで、商品の特徴や使用感を、短い時間でも印象的に伝えることができます。また、短尺でもストーリー性を持たせることで、視聴者の興味を引くことが可能です。
さらに、テキストや字幕を効果的に活用すれば、無音でも内容が伝わりやすくなり、SNSでシェアさせやすくなるでしょう。
例えば、美容業界ではコスメの使用シーンを、飲食業界では料理の過程をリアルに見せることで、視聴者の関心を引き、「使ってみたい」「食べてみたい」という気持ちを高める効果が期待できます。
イベント・キャンペーン告知
短い縦型動画は、リアルタイムの情報を素早く広めるのにも適しているため、イベントやキャンペーンの告知にも効果的です。視聴者の興味を引くためには、短い時間で魅力を伝えることが大切です。そこで、縦型動画ならではのテンポの良さが活かせます。
たとえば、新商品の発売イベントやセールの告知では、映像とテキストを組み合わせることで、開催日時や特典をわかりやすく伝えられます。また、期間限定のキャンペーンを短期間で多くの人に届けるのにも便利です。
さらに、見た目に映えるシーンや印象的なビジュアルを取り入れると、シェアされやすくなり、より多くの人にアピールできます。
採用活動
縦型動画を活用すれば、企業の公式アカウントを通じて、若年層への採用アピールがしやすくなります。文字だけの求人情報よりも、動画の方が短時間で多くの情報を伝えるのに優れています。さらに、長尺の横型動画よりも気軽に視聴してもらえる縦型動画なら、より多くの人に情報が届きやすくなります。
縦型動画で配信する内容としては、社員の働く姿やオフィスの雰囲気、インタビューなどがおすすめです。これらを複数本の動画に分けてシリーズ化することで、求職者が興味に応じて深掘りできるようになります。
社内教育
社内研修や教育コンテンツにも、縦型動画が活用できそうです。縦型動画なら、必要な情報をコンパクトにまとめることで、研修資料として分かりやすく提供できます。動画は、文章を読むよりも直感的に理解しやすく、実践的なスキルの習得にも役立ちます。
例えば、新しいツールの操作説明や安全教育の動画を作成し、社員全員へ共有すれば、効率的に学習環境を整えることができます。また、新入社員向けの業務マニュアルや、接客・販売スキル向上のための教材など、業務に直結する知識を短時間で視覚的に伝えられるのも縦型動画のメリットです。
縦型動画の作り方
縦型動画には多くのメリットや活用シーンがありますが、実際に作成する際には「どのように作ればいいのか?」と悩む方も多いでしょう。ここからは、縦型動画の作成方法を詳しく解説します。
企画・構成
縦型動画を制作する第一歩は、ターゲットを設定し、動画の目的を明確にすることです。誰に向けて、何を伝えたいのかを整理したうえで、適切な構成を考えましょう。例えば、商品紹介なら特徴を簡潔に伝える、イベント告知なら臨場感を重視するなど、用途によって構成のポイントが変わります。
次に、動画の流れを具体的に計画するために「ストーリーボード」を作成します。これはアニメ制作における絵コンテのようなもので、シーンごとの構成を視覚的に整理しておけば、撮影時のガイドとして役立ちます。ストーリーボードには、必要に応じて簡潔なセリフやナレーションも記載しておけば、スムーズに撮影が進みます。
撮影
動画の構成が決まったら、次は撮影です。縦型動画のフォーマットに適した方法で撮影しましょう。スマホで直接縦型撮影を行うのが手軽ですが、一眼カメラを使用する場合は、縦向きでの撮影が可能か確認しましょう。手ブレを防ぐために三脚などで固定するのがおすすめです。
縦型動画は視野が狭いため、被写体を中央に配置するようにしましょう。重要な要素が見切れないように画角を調整することも大切です。さらに、明るさを適切に設定して、音声が重要な場合は外部マイクを使用してクリアな音質を確保しましょう。
編集
縦型動画の編集では、短尺にまとめることが重要です。多くのプラットフォームで1分以内の動画が主流のため、不要なシーンをカットし、テンポよく仕上げましょう。視聴者が最後まで視聴するよう、インパクトのある動画に仕上がっているか確認しましょう。
BGMや効果音を加えることで感情を引き込みやすくなります。音声なしで視聴する人のために、字幕を追加すると内容が伝わりやすくなります。編集にはスマホアプリ(CapCut、VN、InShotなど)やPCソフトを活用し、色調補正やエフェクトで完成度を高めましょう。最後に、配信プラットフォームの仕様に合わせて、動画サイズや解像度を調整します。
配信
編集が完了したら、ターゲット層に合ったプラットフォームで動画を公開します。TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなど、それぞれのSNSに合った方法で投稿することで、より多くの人に届きやすくなります。
投稿時間も重要で、動画を見てほしい人たちがアクセスしやすい時間帯や曜日に投稿することで視聴数を伸ばせます。ハッシュタグを活用して、検索やおすすめ表示に載りやすくする工夫も大切です。そして、配信後は再生回数や視聴者の反応を分析して、次回の動画作成に活かしましょう。
縦型動画を制作する際のポイント
縦型動画を制作する際に意識すべき重要なポイントとして、次の3つが挙げられます。
冒頭でインパクトを与える
縦型動画では、最初の数秒が視聴者の興味を引くための重要なシーンとなります。特にTikTokやInstagramリールでは、最初の1〜2秒で注目を集められなければ、すぐにスキップされることが多いため、冒頭にインパクトのあるビジュアルやキャッチフレーズを配置して、視聴者の関心を引くことが重要です。
例えば、鮮やかな映像や驚きのあるシーンを使ったり、質問形式のテキストで始めるなどの工夫をすれば、視聴者が続きを見たいと思う効果を高められます。
字幕やテロップを入れる
SNSでは音声をオフにして動画を視聴する人も多いため、字幕やテロップを活用することで、内容を正確に伝えることができます。テロップを入れる際は、要点を簡潔に言い換えて、わかりやすい文字で表示することが大切です。
例えば、強調したい言葉を色やサイズで目立たせると、視聴者の注意を引きやすくなります。また、話し手のセリフをテロップとして表示すれば、音声なしでも内容が理解しやすい動画になります。シンプルで読みやすいフォントを選び、画面のバランスを崩さないように配置場所にも工夫をしましょう。
テンポとリズムを意識する
視聴者の関心を引きつけるためには、動画全体のテンポとリズムが重要です。例えば、全体的にアップテンポで展開することで視聴者の集中力を維持し、最後まで視聴してもらいやすくなります。ほかにも、リズムよくカットを入れることで映像にダイナミックな動きを加え、視覚的な変化をもたらします。また、ズームインやズームアウトで被写体に焦点を当てたり、不要な間や動作を省いてテンポを速めるジャンプカットを使うことで、視聴者の注意を引きつけることができます。
アニメーションや動きのあるグラフィックを使用したり、効果的なエフェクトを加えることで、飽きのこない構成に仕上げることも大切です。
縦型動画の成功事例
企業の広報活動において、縦型動画を活用した成功事例も増えています。ここでは、弊社プルークスが制作した縦型動画の中から、効果を上げた事例をご紹介します。
医薬・化粧品業界:SNS投稿用動画
「ロート製薬」様の人気美容液「メラノCC」の使い方や商品の特徴を訴求するSNS投稿用動画です。3DCGを活用し、「王道」の存在感を強調しています。冒頭では質感を際立たせる液体表現を用い、音響にも工夫を凝らすことで、視聴者に強い印象を与えています。
字幕やテロップは使用していませんが、最終的に商品画像を画面いっぱいに縦長で表示することで、視覚的に強い印象を与えています。視聴者が実際に店頭でこの商品を見かけた際に、既視感を感じやすくしています。
情報通信業界:商品PR動画
【PR動画】Loop Now Technologies株式会社様_Firework PR動画制作
「Loop Now Technologies株式会社」様の動画DXプラットフォーム『Firework』のPR動画です。『Firework』は縦型ショート動画やライブ配信を提供するプラットフォームなので、このPR動画も縦型動画で制作されています。実際のスマホ画面をベースにしながら、プラットフォームの特徴やメリットを効果的に伝えることで、視聴者がイメージしやすい内容になっています。
視聴者に飽きを感じさせないよう、テロップにハイライトを活用したり、数字がランダムに切り替わりながら最後に目的の数字で止まる「ランダムカウントエフェクト」を取り入れています。このような工夫を凝らすことで55秒という尺を短く感じさせています。
放送・通信業界:商品紹介動画
【縦型ショート/サービス紹介動画】JCOM株式会社_住宅ローンサービス紹介動画
「JCOM株式会社」様の住宅ローンサービスを紹介する動画です。文字だけでは伝わりにくいローンに関する情報も、軽快なBGMとテンポよいアナウンスでわかりやすく説明されています。特に「金利が下がる」というメッセージでは、大きな赤い下向き矢印が画面いっぱいに動き、視覚的に印象づけています。
縦型動画では表示しづらいグラフも、重要な部分に動きを加えて視聴者の目線を誘導しています。動画の最後には検索ワードが大きな文字と音声で案内され、視聴者に具体的な行動を促しています。
お問い合わせ | 動画制作・映像制作なら株式会社プルークス| 東京でトップクラスの実績がある動画制作会社
まとめ
縦長動画はスマホ視聴に適しており、視聴者の没入感を高めやすいのが特長です。最近では、短時間で魅力を伝える手法として、SNS広告や商品PRなどでの活用も増えています。
縦型動画を制作する際は、視線の誘導やテロップの活用、テンポのよい構成を意識し、視聴者の心をつかむ動画を目指しましょう。適切な編集と演出を工夫すれば、予算を抑えながら効果的なマーケティングツールとして活用できます。