動画広告は、企業のマーケティング活動において重要度が高まりつつあります。自社で取り組みを始めたばかりで期待した成果が出ていない、反響を感じつつもその先どうしたらよいかわからない、といった企業も多いのではないでしょうか。動画広告では、制作だけでなく、効果測定から改善につなげることが大切です。
本記事では、動画広告の作り方や効果測定の方法について解説します。成果を生み出す動画にするためのポイントについても紹介するため、お困りであれば参考にしてください。
目次
成長する動画広告市場
広告市場において、動画は急成長を見せています。サイバーエージェント社の調査によると、動画広告市場は年々拡大を見せており、近いうちに1兆円を超える規模に成長すると予想されています。
動画広告市場の成長は伸びが著しく、数十パーセントの規模で毎年成長が続くと見込まれています。実際のところ、動画広告を目にする機会が増えたと感じている人もいるでしょう。近年では、インターネット通信速度向上や通信キャリアの料金改定により、スマートフォンを視聴デバイスとした動画広告が圧倒的な割合を占めています。
今後は、企業と顧客との接点としての動画広告が活用されるケースも増えることが考えられるため、重要性はさらに高まるでしょう。
【4ステップ】成果につながる動画広告の作り方
動画広告の制作手順は大きく4つのステップに分かれます。各ステップの内容やポイントについて概説します。
ステップ1:動画広告の目的やターゲットなどの情報を整理する
まず初めに、広告の目的やターゲットについて整理することが大切です。この段階で広告の表示媒体や目標達成に向けた指標であるKPIなども明確にしておきましょう。
動画広告では、主に次のような目的があり、適切なKPIを設定することで成果にこだわった動画制作や運用を行えるようになります。
目的 | KPI |
認知の獲得・拡大 | 再生数、ユニークユーザー数、総再生時間など |
コンバージョン | コンバージョン数、コンバージョン率、視聴完了率、売上高など |
ブランディング | 再生数、ユニークユーザー数、アンケート結果など |
また、動画広告の表示媒体はWebサイトやSNS、動画プラットフォームなどさまざまです。ターゲットによって利用するサービスや好むジャンルが異なるため、方針を定めておくことで適切なアプローチができます。
以下では、動画広告の種類について詳しく解説しております。気になる方はぜひご一読ください。
ステップ2:ペルソナとキーメッセージの作成
動画のシナリオ作成に入る前に、ターゲットを具体化したペルソナを作成し、メディアとの接点や訴求すべきポイントなどを検討します。ペルソナとは、ターゲットを明確にイメージするためにユーザーの属性を設定して架空の人物像を作り出すことです。
例えば、誰かにプレゼントを渡す際に相手が友人や家族、職場の人なのかによって渡すものが異なるでしょう。ペルソナを設定していなければ、どのような訴求がユーザーに伝わりやすいかを考慮しにくくなります。ユーザーファーストの動画広告を制作するためにも、ペルソナの設定は必要です。
ペルソナは、以下のように項目に分けて詳しく設定します。
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・名前:田中 花子
・年齢、性別:30歳、女性
・職業、役職:従業員数50~100人の医療系会社に勤務、広報担当者
・家族構成:夫、子ども2人
・趣味:アウトドア、旅行
・悩みごと:自社製品に対する消費者の認知度が低く、効率よく認知拡大できないか模索している。たまたま自宅でYouTubeを視聴していた際に、競合他社が動画広告を制作していることを知り、自社でも取り入れることができないか詳しく調べている
併せて、訴求に効果的なキーワードや刺さるフレーズについても検討しましょう。
例えば、価格訴求を行いたいなら「安い」「無料」などのキーワードを使用し、希少性で訴求したいのであれば「今だけ」「限定」などのキーワードの使用を考えます。その他にも、簡単に申し込みができる場合には「30秒で申し込み完了!」「簡単3ステップ!」などと訴求すると成果につながりやすくなるでしょう。
ペルソナとキーワードに整合性があれば、それだけ共感を得やすく、口コミやSNSでの拡散も見込みやすくなります。少し時間のかかるステップですが、しっかり行うことで動画の質や結果が大きく変わるでしょう。
ステップ3:動画の構成と脚本を制作する
動画の構成や脚本は、動画広告の目的を意識しながら作成することが大切です。
動画の構成については、型を意識しながら制作することで失敗が少なくなります。テレビCMや動画広告をよく見ていれば、ほとんどが以下の型に当てはまることがわかるでしょう。それだけ実績があるテクニックです。
問題提起型 | よくある問題 > 解決策 > 商材紹介 > Call to Action |
プロダクトデモ型 | 商材紹介 > メリット > 詳細 > Call to Action |
ストレートオファー型 | セール情報 > 商品情報 > 追加情報 > Call to Action |
また、情報紹介の順番やアピールポイントを考えるうえで消費者の購買決定プロセスのモデルを参考にするのもよいでしょう。
ステップ4:広告媒体に合わせて動画サイズを複数制作する
広告媒体に合わせて複数の動画サイズを作成しましょう。例えば、YouTubeは横型の動画、TikTokやInstagramなどのSNS広告では縦型の動画が必要になります。
複数の動画を制作する場合、1本の元映像からは作成が難しい場合もあることに注意してください。広告の表示媒体が決まった時点で複数パターンの撮影が必要になるかどうかを判断し、撮影・制作のスケジュールを確保しましょう。
弊社プルークスでは、企画から運用まで一貫してサポートを行います。内製が難しい場合は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
【目的別】動画広告の効果測定方法
動画広告で成果を上げるには、効果測定が大切です。データを取って終わりにせず、そのデータを活かした改善に結びつけるようにしましょう。以下では、効果測定のポイントについて解説します。
効果測定で使われるKPIの例
効果測定では、主に次のようなKPIが使われています。
インプレッション(IMP) | 動画広告の表示回数 |
インプレッション単価 | 動画広告の表示回数に対するコスト |
リーチ | 動画広告がどれだけのユーザーに届いたか |
フリークエンシー | ユーザーが動画広告を何回見たか |
クリック数 | 動画広告がクリックされた回数 |
クリック率(CTR) | 動画のインプレッションに対するクリックの割合 |
クリック単価(CPC) | クリックあたりに対するコスト |
コンバージョン | 商品購入や申し込みなど目的の行動への到達数 |
コンバージョン率(CVR) | クリック数に対するコンバージョンの割合 |
顧客獲得単価(CPA) | 広告費に対するコンバージョンの割合 |
動画広告の効果測定では、他の媒体での広告と同様に、広告費に対してどのような成果が出たかという観点が必要です。
動画広告は目的によって使用するKPIが異なるため、以下で詳しく見ていきましょう。
動画広告の目的が「認知拡大」の場合
動画広告の目的が「認知拡大」である場合、実際に「どれくらい多くの人に見てもらえたのか」を把握できるようなKPIを設定します。
この場合のKPIとしては、「インプレッション」や「クリック数」、「動画の再生回数」などがKPIとして適切となるでしょう。また、これらを獲得するためにかかったコストを最適化していくため、「インプレッション単価」「クリック単価」なども意識します。
KPIとして設定した項目の数値が思わしくない場合は、ターゲットや動画の表示媒体の見直しを行ったり、サムネイルやタイトルの改善などを行ったりして改善します。
動画広告の目的が「コンバージョン」の場合
コンバージョンを目的とした動画広告であれば、「動画からのアクション」を計るためのKPIの設定が必要です。また、アクションを獲得するためのコストにも着目します。
コンバージョンでは「クリック数」「コンバージョン数」「コンバージョン率」「顧客獲得単価」などが代表的なKPIです。「サイトへの誘導」「商品購入」などコンバージョンの目標を複数設定して、それぞれに対してKPIをチェックする場合もあります。
効率よくコンバージョンを獲得できるように、KPIをチェックしながら最適化を目指しましょう。A/Bテストを行ったり、動画の構成や情報の提供方法を変えたりしながら改善を行います。
成果につながる動画広告にするためのポイント
動画広告の効果を高めるには、KPIやその他のデータを参考にしながら、改善すべき部分を明確にして改善することが大切です。以下では、成果につながる動画広告のポイントについて解説します。
コンテンツの改善
動画広告のKPIに問題がある場合、まず検討すべきは「コンテンツの改善」です。同じ媒体、広告予算、ターゲットにも関わらず動画広告の成果を得られない場合は、コンテンツに問題がある場合がほとんどです。動画は品質の高いものは続けて視聴され、品質の低いものは見てもらえない性質があるため、早急に改善する必要があります。
例えば、クリック数やインプレッションが伸び悩んでいれば、サムネイルの改善が有効な場合が多いです。視聴維持率が低ければ、冒頭の5秒で視聴者の興味を惹くように工夫します。再生完了率が低い場合は、動画の時間を短くしたり、アニメーションやBGM、効果音などで演出を強化したりするなど工夫してみましょう。
また、ターゲットに合った内容になっているか、結果を基に詳しく分析して改善していきます。分析や改善は難度が高いですが、その広告動画の改善だけではなく、組織としてのノウハウ蓄積にもつながるため、しっかり取り組みましょう。
コンバージョンの最大化、CPAの低下を目指す
理想的な動画広告は、コンバージョン(購入や申込数)を最大化して、顧客獲得単価(CPA) を抑えることです。広告としての品質は、映像の美しさや印象に残るかではなく、事業にしっかりと貢献しているかどうかで決まります。
動画広告の再生数が伸びていたとしても、売上が伸びていなければコストだけが増えることになるでしょう。場合によっては、動画の冒頭でターゲットを明言するようにして、ターゲット外のユーザーの離脱を促すことで、広告予算を抑制できます。
プロへの外部委託も検討する
広告予算に余裕があれば、動画の制作や効果測定、広告戦略のサポートをプロに依頼するのもよいでしょう。自社で内製するより費用はかかりますが、広告の費用対効果を考えるのであれば十分な効果が期待できます。
外部委託を検討する場合、費用だけで選んでしまうと成果が出なかったり、思ったようなサポートが受けられなかったりして失敗してしまうこともあります。必ず実績を確認し、見積もりも内訳までチェックして、信頼できる業者に依頼しましょう。
PDCAサイクルを繰り返し行う
動画広告の効果を高めるには、PDCAサイクルを繰り返し行うことも大切です。PDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実施)→Check(評価)→Action(改善)の順に行うことで、品質管理の向上を目指す手法です。しかし「どういった部分に注目して評価や改善をすればよいか」悩む人も多いのではないでしょうか。そのような場合は「再生回数」「視聴数」「ユーザーのレスポンス数」などに注目してみてください。
例えば、再生回数が少ない場合は「ターゲットを誤っているかもしれない」と仮説を立てられます。ターゲットを変更すれば、改善することもあるでしょう。仮説を基に改善や検証を繰り返せば、成果につながりやすくなります。
動画広告の費用相場
動画広告は制作にかかった工数や人数、表現方法などによって費用が異なります。そのため、費用相場は30~500万円と幅広いです。例えば、テレビCMとして広告を出す場合は高額になるケースが多いです。一方で、YouTubeやVimeoを使って広告を出す場合は、費用が少し安くなる傾向があります。
動画広告の費用については、以下の記事で詳しく紹介しているため、気になる人はご一読ください。
費用を抑えたい場合は「工程別で依頼する」「動画全体の時間を短くする」「アニメーション動画を利用する」などの工夫をするとよいでしょう。また、自社で内製できる作業はなるべく外注しないようにすることもおすすめです。
なお、外部委託する場合は可能な限り値段だけで判断することは避けて、制作実績や口コミなど参考にして決めるようにしましょう。弊社プルークスでは、動画広告の制作実績が多数あります。もし、動画広告に関することでお悩みの場合はお気軽にお問い合わせください。
大きな成果につながった動画広告の事例
上記で、動画広告の効果測定方法や費用相場などを解説してきました。しかし、具体的なイメージが湧いていない人も多いのではないでしょうか。ここからは、弊社で行った動画広告の制作事例を3つ紹介するため、気になる人はぜひ参考にしてみてください。
株式会社サイエンスアーツ様:他企業からの協業打診につながった
株式会社サイエンスアーツ様は、従業員同士のやり取りを円滑にするために音声コミュニケーションプラットフォームの「Buddycom(バディコム)」を展開している企業です。動画広告の導入目的としては「Buddycomの認知度を拡大したい」「企業の信頼度を向上させたい」などがありました。
無線IPアプリのBuddycomを紹介するCMを制作したところ「WebサイトのPV数が3倍」「企業の信頼度が向上して他企業から協業の打診がくる」などの成果を得ています。映像では、伝えたいことを適切に伝えるためにポイントを押さえながら、スタイリッシュ感を演出することで差別化を図っています。
パーソルキャリア株式会社様:社員の活動意欲が85%向上した
パーソルキャリア株式会社様は、人材紹介サービスや求人メディアの運営などを行っている企業です。こちらは「採用を促進したい」「社員のモチベーションを向上させたい」といった目的で動画広告を導入しました。
ユーザーの心情を汲み取ったドラマ仕立てのコンセプト映像を制作したところ、ビジョンに共感したメンバーが90%にまで上昇しています。さらに、意欲が増した社員は85%に達しました。
株式会社grooves様:11万人にサービスを認知してもらえた
株式会社grooves様は、インターネットを使った総合人材サービス業を行っています。自社の認知度を拡大することを目的として、動画広告を導入しました。
人材プラットフォームサービスのForkwell(フォークエル)のバンパー広告用動画を制作したところ「11万人へのサービス認知のつながる」「過去最多の指名検索数を記録」などの成果を得ています。映像は6秒間と短いものの、駄洒落でインパクトを残しています。
動画広告の作り方や効果測定の方法を理解して事業を成長させよう
動画広告は訴求力が高く、市場の成長性からも今後の広告市場において重要な位置を占めることになるでしょう。動画広告が増えるなかで、数ある広告に埋もれず成果につなげるには、正しい動画広告の作り方や効果測定の方法を理解することが大切です。事業成長の促進のために、動画広告の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
プルークスでは、動画作成や広告戦略についてもサポートしています。動画広告の制作や運用でお悩みの際は、ぜひご相談ください。
動画広告の作り方や効果測定に関してよくあるQ&A
動画広告の作り方や効果測定に関して、よくある質問を紹介します。
Q. 成果につながる動画広告を制作するポイントは何ですか?
A. 最も大事なのは企画の段階です。また、高品質な映像にすること意識しましょう。
動画の品質は企画の段階で決まることが多く、高品質の動画は企画がよく練られている傾向にあります。
Q. 効果測定では何を見たらいいですか?
A. 再生回数や表示回数、視聴完了率などを基本とし、目的に合わせたKPIを設定・確認しましょう。また、コストに関連する指標も必ずチェックします。
効果測定ではさまざまなデータや指標を確認し、以前のデータと比較しながら改善案を考えていくのが一般的です。業者に依頼する場合、同業他社のデータなどを参考に意見をくれることもあるので、うまく活用しましょう。
Q. 効果測定ツールは何を使えばいいですか?
A. Google広告やYouTubeアナリティクス、その他各メディアの測定ツールが使われることが多いです。
効果測定のためのツールはさまざまな企業から提供されており、無料で使えるものも多いです。自社で使っているKPIがすぐにわかる、複数のプラットフォームの広告を一元管理できる、など自社のニーズに合うものを考えて採用しましょう。