会社紹介動画は、企業が自社ブランドや事業の紹介を目的として制作する動画です。近年は5Gの普及や、コロナ禍により、動画サービスの視聴者が増えたことで動画が身近になってきたことから、企業の認知度やイメージの向上のために動画を活用する企業が増えています。
今回は、会社紹介動画の制作を考えている広報担当者や採用担当者に向けて、会社紹介動画の概要や制作事例、制作するときの注意点などを詳しく解説します。
会社紹介動画とは?
会社紹介動画は、文字通り「会社を紹介する」ための動画です。しかし、一口に会社紹介動画といっても、どのように制作するかによって動画の内容は大きく変わります。そこで制作事例を見る前に、会社紹介動画の概要について確認しておきましょう。
会社紹介動画はどのような動画か?
会社紹介動画は、主に会社の認知度や信頼性の向上を目的として制作されます。言い換えれば、事業内容や提供している商品・サービスなどをわかりやすく伝えるために制作される動画といえるでしょう。
ただし、会社紹介動画は動画の目的や想定する視聴者によって、内容や制作手法が大きく変わります。例えば、同じ企業を紹介する動画でも、取引先に向けて事業内容やブランドを紹介する動画と、求職者に向けて業務内容や社員を紹介する動画では、動画の内容が大きく異なります。
会社紹介動画は一般的に事業内容や商品・サービスを紹介する動画を指しますが、定義付けや説明が難しい動画といえるでしょう。
さまざまなタイプの動画がある
会社紹介動画は、紹介する内容や切り口によって以下の3つに分類できます。
- 事業紹介
- 提供している商品・サービスの紹介
- 社員紹介・企業の雰囲気を感じさせるインタビュー映像
それぞれについて、会社紹介動画の事例をもとに確認していきましょう。
日本エネルギー総合システム株式会社様の事業紹介動画では、政府が推進しているSDGs(持続可能な社会の実現)に向けた事業での取り組みを紹介しています。動画を視聴すると、会社のビジョンや理念が見えてくるでしょう。
KDDIウェブコミュニケーションズ株式会社様のレンタルサーバー「CPI」紹介動画では、広告色を排除し、ブランドイメージの向上を図っています。自社サービスから通ずる共感できるストーリー性のある動画に仕上げることで、会社自体のイメージアップにつなげています。
SHE株式会社様の動画では、自社が開催する講座に関するインタビュー形式の動画を制作しました。講座を受講した人の声を紹介することで、会社に対する信頼度の向上を狙っています。
このように、3社とも会社の取り組みや商品・サービスを紹介する動画を制作しています。しかし、どのように紹介をするかによって、視聴者に与えるイメージは大きく変わるでしょう。
会社紹介動画を制作する3つのメリット
会社紹介は、動画以外でも紹介することが可能です。例えば、パンフレットや写真を使用したスライドなどでも会社紹介はできます。それでも多くの会社が紹介動画を制作しているのは、大きなメリットがあるからです。ここでは、会社紹介動画を制作する3つのメリットを紹介します。
文字では伝わらない雰囲気や企業理念を伝えやすい
会社紹介動画を制作するメリットの一つに、文字だけでは伝わらない情報を紹介できることが挙げられます。
例えば、企業理念といった概念や想いは、文字で伝えるのは難しいといえるでしょう。また、会社の雰囲気や空気感なども、文字だけではなかなか伝わりません。文字で伝えることができる情報であっても、動画にすれば動きや音が加わるため、より多くの情報をわかりやすく伝えられます。
また、動画には情報を短時間で伝えられるというメリットもあります。そのため、内容の把握に時間がかかる文字主体の会社紹介よりも、会社紹介動画のほうが短時間で会社への理解を深めてもらうことができます。
映像化により記憶に残りやすい
会社紹介を映像化するメリットの2つ目は、文字だけの会社紹介よりも映像化した会社紹介のほうが、記憶に残る可能性が高いことです。アメリカの国立訓練研究所が発表した研究では、文字よりも映像のほうが記憶の定着率が高いという結果が出ています。このことから文字よりも映像のほうが、記憶に残りやすいといえるでしょう。
また、動画にすることで、容易にストーリー性を持たせることができます。ストーリー性を持たせることで視聴者の感情に訴えることができるため、記憶に残る可能性が高まります。
説明に関する属人化を防ぐ
新卒採用の際に行う会社説明会や、展示会やイベント会場などでの自社や商品・サービス紹介を映像化することで、属人化を防ぐことができます。
属人化すると、社員によって説明の得手不得手があるため、説明の質にバラつきが生じるでしょう。会社紹介を映像化することで、すべての人が同じ説明を聞くことができるようになるだけでなく、展示会やイベントで会社紹介を担当する社員の負担も軽減します。
また、会社紹介動画を制作すると、SNSやネットでの配信もできます。ネット上で配信すれば、会社に興味を持った人がいつでも視聴できるため、会社を知ってもらうチャンスが増えるでしょう。
タイプ別に見る会社紹介動画の事例4選
会社紹介映像にはさまざまなタイプがあるため、どのような動画を制作すればよいかわからない人も多いでしょう。そこで今回は、タイプ別に4つの会社の紹介動画を紹介します。実際の制作事例から、どのような動画を制作すると効果的かを確認しましょう。
【事業紹介】NTTコムチェオ株式会社様(PROOX制作動画)
NTTコムチェオ株式会社様は、カスタマーサービスから高度な技術が求められるテクニカルサポートまで幅広く対応するコンタクトセンターや、技術スタッフが出張でITサポートを行うオンサイトサポートを展開するIT企業です。
未来につながるIT技術を主軸にしている会社ということもあり、CGやグラフィックを使用して近未来感や最先端をイメージさせる映像になるように制作しました。映像表現もこだわりがありますが、この動画の真髄は多くの企業紹介動画ではあまりフォーカスされない「人」が軸になっていることです。
そのため、多くの人が活躍できる魅力的なIT企業であることをアピールできる映像となっています。
【事業紹介】株式会社ウェザーニューズ様(PROOX制作動画)
株式会社ウェザーニューズ様は、気象情報専門会社として世界最大級の規模を誇ります。24時間詳細な気象情報を配信していることで有名ですが、最近では独自のデータベースを活かし、洋上風力発電向けの再生エネルギー事業も展開しています。
今回紹介する動画は、その新事業を紹介するための動画です。洋上風力発電という新事業と、ウェザーニューズが持つ膨大なデータベースを利用していることを訴求するために、CGやエフェクトを多用したスタイリッシュな動画となっています。
デジタルかつスタイリッシュなトーンで映像が統一されていることが特徴です。トーンを統一したことで、事業紹介動画として非常にわかりやすく、コンパクトにまとめています。
【提供している商品・サービスの紹介】FANTAS technology株式会社様(PROOX制作動画)
FANTAS technology株式会社様は、元々「株式会社Fan’s」でしたが、現在社名を変更されています。「ファンになっていただける企業」という企業理念を掲げる不動産コンサルティング行う会社であり、ITや先端技術を活用して不動産コンサルティングを行っているのが特徴です。
この企業理念や企業が持つ特徴を、採用イベントや社員イベントでわかりやすく伝えるための動画として制作したのが、今回紹介する自社ブランド紹介動画です。
自社ブランド紹介動画としては珍しく、イベントのオープニングで上映することを前提に制作された動画です。そのため、オープニングにふさわしいアップテンポなBGMや華やかなエフェクトを使用し、企業のイメージや求める人材を端的に伝える映像になっています。
使用目的を絞って会社紹介動画を制作することで、動画の効果が高まることがわかります。
【提供している商品・サービスの紹介】明治安田アセットマネジメント株式会社様(PROOX制作動画)
投資信託を中心とした資産運用会社である明治安田アセットマネジメント株式会社様で公開している動画では、企業のファンを増やす目的で自社ブランド紹介映像を制作しました。
目的が明確であり、自社ブランド紹介でありながら広告色を排除した動画コンテンツとなっているのが特徴です。また、「私たちは成長の支えになりたい」という企業が持つコーポーレートメッセージが短時間でわかりやすく伝わるよう、動画にストーリー性を持たせています。
成長というストーリーを軸に展開するため、共感や感情に訴える動画となっており、短いながらも印象に残る動画といえるでしょう。
会社紹介動画を制作するうえでの留意点
会社紹介動画を制作することは、企業にとって大きなメリットを得られるでしょう。しかし、一歩間違えると目的を達成できないだけでなく、会社のイメージを損なう動画となるおそれがあります。そこで、動画を制作する際に注意すべきポイントを確認しておきましょう。
安易に内製しようとしない
会社紹介動画は高いクオリティが求められる分、制作コストは他の動画に比べて高くなる傾向があります。そのため、内製を検討する担当者が少なくありませんが、安易に内製に踏み切るのはおすすめできません。
なぜなら、会社紹介動画の目的はPRと認知向上だからです。視聴者は会社を知らない人であり、動画を見て企業に対する理解を深めます。そのため、クオリティが低く内容が伝わりにくい動画を視聴した場合は、企業に対して不信感や悪いイメージを抱くおそれがあるでしょう。
会社紹介動画は会社を知ってもらうきっかけとなる動画なので、動画制作のノウハウがない場合は動画制作会社に依頼することをおすすめします。
何を伝えるのか?要点を洗い出す
会社紹介動画を制作するうえで最も大切なのは、何を伝えるかを明確にすることです。一口に会社紹介動画といっても、紹介するものや紹介の切り口は多岐にわたります。そのため、誰に何を伝えるのかをはっきりしなければ、伝えたい内容がよくわからない動画になってしまうでしょう。
また、近年普及が進むSNSや動画投稿サイトへの投稿も視野に入れている場合は拡散も期待できるため、通常の会社紹介動画よりも「何を伝えるか」をさらに明確に決める必要があります。
要点の洗い出しは動画の制作前に社内でも行うべきですが、動画制作会社は要点を洗い出すノウハウも持っているため、動画制作が決まった段階で制作会社に相談するのもおすすめです。
使用用途や対象を明確に
先述の通り、会社紹介動画は、制作する目的や用途、対象となる視聴者をしっかり決める必要があります。例えば、自社の事業を紹介する動画を制作する場合でも、投資家に向けた説明と新卒採用のための説明は大きく異なるでしょう。したがって、「誰に何を伝える動画か」は明確に決めておく必要があるのです。
先ほど紹介した制作事例は、「新卒の学生に特化した採用のための会社紹介」「イベントのオープニングで上映する動画」といったように、使用する場面や目的、対象者が明確に決まっています。
会社紹介動画をより効率的に活用するためにも、動画の運用方法も見据えて制作を検討することをおすすめします。
会社紹介動画は企業に対する「イメージ」を決める
会社紹介動画は、企業を知らない人に対して自社がどのような企業かを紹介するための動画です。そのため、「自社に対する第一印象となる」可能性があります。会社紹介動画は会社のイメージを左右する重要な動画なので、慎重に企画・制作する必要があるでしょう。
以下では、「企業PR動画の作り方」について解説しています。作り方のコツや留意点を理解しないまま制作すれば、企業ブランドにマイナスのイメージが付き、取り返しがつかないこともあるでしょう。会社紹介用動画を上手に活用するためにも参考にしてみてはいかがでしょうか。