動画をマーケティングに活用する場合、投稿先としてYouTubeを選択することが主流といえます。しかし、近年では広告の出稿先として、LINEの存在感が高くなりつつあるでしょう。
国内屈指のユーザー数を誇るLINEは、年齢・性別を問わず広い層へのアプローチが可能であり、マーケターからも注目が集まっています。モバイル端末のデータ処理速度の高速化や高機能化を背景に、LINEでは静止画だけでなく動画広告が増加している状況です。
本記事では、LINE動画広告の特徴や企業における活用方法、クリエイティブ制作のコツを解説します。
目次
LINE動画広告とは?
LINE動画広告とは、LINE広告に動画を活用する広告手段です。月間利用者数9200万人に利用されているLINEのサービス内に広告を出稿できるLINE広告は、多くの配信面で動画掲載が可能になっています。
LINE広告は、圧倒的な配信ボリュームに加え、最低出稿金額なし、精度が高いターゲティングなどが特徴です。2021年12月時点で約45000超の商材やサービスが出稿していることからも、広告媒体としての有用性がわかるでしょう。
動画広告は、LINEの広告配信面のなかでも大きめの枠に表示されるため、効果的な訴求が可能です。実際にLINE広告の公式より、コロナ禍の間に動画広告に対するユーザーの反応率が高まっていると見解しており、その広告効果の高さがうかがえます。
LINE動画広告の特徴・課金形態・入稿規定
LINE動画広告は、他の広告手段と比較してどのような特徴があるのでしょうか。広告出稿を検討するために必要となる、課金形態や入稿規定と併せて解説します。
特徴①:多くのユーザーにリーチできる
LINEは、利用者の年齢層が男女を問わず10代から60代以上にまで幅広く分布しています。そのため、LINEに動画広告を投稿することで、さまざまなターゲットにリーチできるでしょう。
また、SNSの利用者中83.4%がLINEを利用しており、SNSはLINEしか利用していないユーザーも一定数いるため、他の出稿先ではリーチできない人にも配信できます。
特徴②:配信面が豊富
LINE広告は、表のように多くの配信面が用意されており、さまざまな属性や嗜好を持ったユーザーに広告出稿が可能です。
配信面 | 内容 | 動画広告の可否 |
LINE NEWS | ・LINEアプリ内のニュースページ ・MAUは約7,700万人 |
〇 ※Verticalを除く |
トークリスト | ・多くの人が利用するLINEアプリのトークリスト ・広告は最上部に表示 |
× |
LINE VOOM | おすすめ動画やフォロー中のコンテンツを閲覧するページ | 〇 |
ウォレット | ・LINEの提供する金融サービスの入り口 ・下層のコンテンツにも多くの配信面を持つ ・月間利用者数5,400万人超 |
〇 ※一部下層コンテンツではCardのみ |
LINEマンガ | 国内最大級のスマホ向け電子コミックアプリ | 〇 ※Verticalを除く |
LINE BLOG | LINEの提供するブログサービス | 〇 ※Verticalを除く |
LINEポイントクラブ | ・LINE提供のポイントサービス ・月間2.6億PV |
〇 ※Verticalを除く |
LINEショッピング | ・LINEアプリ上で買い物ができるサービス ・会員登録数3,500万人 |
〇 ※Verticalを除く |
LINE広告ネットワーク | LINEファミリーアプリやサードパーティーアプリにおける広告配信面 | 〇 |
ホーム | LINEのコンテンツへの入り口 | × |
ただし、広告を出稿する企業が配信面を指定することはできないため、次に紹介するターゲティング機能を上手に活用することが大切です。
特徴③:セグメント別のターゲティングが可能
LINE広告では配信面は指定できませんが、セグメント別のターゲティングが可能です。適切にターゲティングを行うことで、効率的にターゲット層へ認知を広げられます。
LINE広告で提供されているセグメントは、次の通りです。
セグメント名 | 内容 |
年齢セグメント | 14歳以下から50歳以上まで、年代を指定して広告を配信可能 |
性別セグメント | 男性、女性を指定して広告配信可能 |
地域セグメント | 都道府県、市区町村を指定して広告配信可能 |
属性セグメント | 配偶者や子供の有無、携帯キャリア、推定収入などの属性を指定して広告配信可能 |
行動セグメント | テレビ視聴頻度、ゲームプレイ、キャリア・モバイル端末の変更状況、ラグジュアリー商品の購買意欲などを設定して配信可能 |
興味関心セグメント | ユーザーの興味関心のカテゴリを指定して広告配信可能 |
オーディエンス配信 | ユーザーのデータを活用した広告配信が可能 |
課金形態
LINE広告は初期費用や登録費用はかかりません。広告出稿についても、最低出稿料金の定めがないため、最低1円からでも広告出稿ができます。
課金形態はCPM(広告表示1,000回で課金)あるいはCPC(クリックごとに課金)となっており、入札形式で価格が決定します。
LINE広告は少額からの広告出稿が可能ですが、LINE広告では適切な広告設計と成果の両立のために、月30万円程度の広告を3ヶ月継続することを推奨しています。分析や改善により広告費用を最適化するためのパフォーマンスレポートも提供されているので、うまく活用しましょう。
入稿規定
LINEの動画広告の入稿規定は、次のようになっています。
・動画
H.264、メイン/ハイプロファイル推奨、正方画素、固定フレームレート、プログレッシブスキャン
・音声
AAC、128kbps以上を推奨、モノラルまたはステレオ
・フレームレート
最大30fps
・ファイル形式
mp4、MOV
・アスペクト比
Card: 16:9(width:240px以上1920px以下height:135px以上1080px以下)
Square: 1:1(width:600px以上1280px以下height:600px以上1280px以下)
Vertical: 9:16(width:135px以上1080px以下height:240px以上1920px以下)
・解像度
最大1080p(広告配信時は最大720p)
・ビットレート
最大8Mbps
・時間
最大600秒(最低5秒以上)
・ファイルサイズ
最大1GB以内
LINE動画広告に向いている企業
LINE動画広告で成果が出ている企業には、共通点があります。次のような特徴を持つ企業であれば、LINE動画広告と相性がよい場合が多いでしょう。
他媒体の動画広告で成功し、一定のノウハウがある企業
既にYouTubeなどの媒体で動画広告を出稿した実績があり、ある程度のノウハウがある企業は、LINE動画広告でも成功しやすいでしょう。
動画制作に必要な機材やスタッフが揃っている、信頼できる外注先がある、など制作体制が整っている企業であれば、クリエイティブの制作で困ることはありません。別媒体のために制作したクリエイティブを利用し、制作を効率化することもできます。
また、動画広告を成功させるための企画作りや出稿時のターゲッティング、運用などのノウハウが蓄積されていることも、有利に働くでしょう。
趣味や興味に基づく商品やサービスを宣伝したい企業
LINE広告では多くの母集団のなかから、趣味や興味に基づくセグメントで絞り込んで広告を出稿できます。
他のプラットフォームでもターゲティングは可能ですが、LINEでは1つのプラットフォーム内でユーザーの情報を多様に収集しています。そのため、他媒体では見つけられなかったターゲットにもリーチしやすいでしょう。
BtoCの商品や、特定層に強く支持されるような商品・サービスを扱う企業は、特にLINE動画広告に向いていると考えられます。
LINE動画広告の配信方法とクリエイティブ作成のポイント
LINE広告に動画を配信するには、アカウントやクリエイティブの審査があるため、配信開始までにある程度の期間が必要です。配信するクリエイティブは、品質が低いと成果に繋がりにくいため、作成時のポイントをしっかり押さえておきましょう。
動画広告の配信方法
LINE動画広告では、次の手順で広告用の動画を出稿します。
1.LINE Business IDの発行
まず、LINE広告のWebサイトにアクセスし「LINE Business ID」を発行します。ビジネス用のIDを作成するには、メールアドレス、またはLINE IDが必要です。
2.広告アカウントの作成
続けて、LINE Business IDで管理画面にログインし、商材ごとに広告アカウントを作成します。広告アカウントの作成には、事前にLINE公式アカウントの開設が必要です。
広告アカウントの作成時には審査があります。広告主や商材に関する情報の入力に不備がある場合は否認されることがあるため、変換ミスや抜け漏れがないように、しっかり入力しましょう。審査結果が出るまで、1週間程度かかります。
3.クレジットカードの登録(必須)
作成した広告アカウントで広告マネージャーにログインし「請求と支払い」メニューから情報を登録します。
4.クリエイティブの登録・タグの設置
メニューの「メディア」から配信するクリエイティブを登録し、キャンペーンの設定や広告の種類などを設定できます。クリエイティブの登録時に、LINE広告の効果測定用のタグ(LINE Tag)が発行されるため、計測を行いたいページにタグを設置します。
LINE Tagには、次の3種類が用意されています。
- ベースコード:計測するすべてのページに設置
- コンバージョンコード:コンバージョンを測定したい場合に設置
- カスタムイベントコード:イベントごとにオーディエンスの作成や効果計測を行いたい場合に設置
5.審査・配信開始
入力した内容やクリエイティブがLINEの広告ポリシーに沿ったものになっているか、LINE側で審査を行います。審査結果は3営業日ほどで通知され、問題がなければ広告の配信が始まります。
クリエイティブ作成のポイント
LINE動画広告を成果に結びつけるにはコツがあります。
例えば、LINEユーザーの多くはスマートフォンでクリエイティブを視聴するため、モバイル向けを意識して作成することが大切です。また、配信面によって動画のアスペクト比が制限される場合があるため、利用したい配信面に合わせてクリエイティブを作成しましょう。
クリエイティブを作る際は「価格を訴求する広告」「使用感を訴求する広告」などを作り分けて、どの訴求軸がターゲットに響くのか検証しましょう。また、冒頭の3秒間を改善するだけで成果が変わる場合もあるため、覚えておくとよいでしょう。
LINE動画広告を活用して認知を高めよう!
LINE動画広告は、国内で最も利用者が多いLINEのさまざまなサービスに、動画広告を出稿できるサービスです。幅広い層にリーチできる点や、各種のセグメントを利用したターゲティング機能、レポート機能により、高い広告効果を期待できます。
プルークスは動画制作、Web広告のコンサルティングに豊富な実績があります。LINE動画広告を含めた広告戦略やクリエイティブ作成のサポートも可能ですので、LINE動画広告の活用をお考えの際は、ぜひお問い合わせください。
LINE動画広告に関してよくあるQ&A
ここからは、LINE動画広告に関してよくある質問についてQ&A形式でご紹介します。
Q. LINE動画広告の種類は?
A. LINE動画広告のフォーマットとアスペクト比は、次の通りです。
- Card(16:9)
- Square(1:1)
- Vertical(9:16)
配信面によって利用できるフォーマットが異なるため、制作前に確認しておきましょう。
Q. LINE動画の課金形態は?
A. LINE動画広告では、「クリック課金タイプ(CPC)」「インプレッション課金タイプ(CPM)」があります。
インプレッションはスマホ画面上で動画枠が100%表示されない限りカウントされず、料金も発生しません。
Q. 動画広告の秒数は?
A. 最低5秒、最大で600秒です。
ただし、多くのユーザーは短尺の動画広告を好み、15秒を超える広告は最後まで視聴してもらえない可能性があります。スキップ対策の観点からは、冒頭に重要な情報やメッセージを提示して訴求することが大切です。