デジタルサイネージは「電子看板」や「デジタル看板」と呼ばれる新しい広告ツールです。駅や店頭、公共交通機関などさまざまな場所に設置されているため、デジタルサイネージという名前を知らずとも、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。
従って、デジタルサイネージを活用することで多くの人に見てもらえるチャンスが生まれ、訴求効果が期待できます。そこで、今回はデジタルサイネージの概要や仕組み、制作の際のポイント、実際の制作事例など、デジタルサイネージの制作において押さえておくべきポイントを紹介しますので、是非参考にしてください。
目次
デジタルサイネージ動画とは
デジタルサイネージについて、概要を説明できる人は少なく、よくわかっていない人も多いのではないでしょうか。制作のポイントを知る前に、まずは概要を確認しておくことが大切です。
デジタルサイネージとは
デジタルサイネージとは、動画を使用したデジタル看板(サイネージ)のことです。駅や街頭、店舗内などにある大型モニターで流れている動画がデジタルサイネージであり、「見たことがない」という人はほとんどいないのではないでしょうか。
近年デジタルサイネージが増えたのは、技術の発展により、従来の「紙」媒体の広告よりも「デジタル」を駆使した広告に需要があることが挙げられるでしょう。
デジタルサイネージの種類
デジタルサイネージは、動画を流す「ディスプレイ」と映像の配信を行う「コントローラー」で構成・管理されています。配信の管理方法の違いによって「スタンドアロン型」「オンライン型」「インタラクティブ型」に分けられています。
スタンドアロン型のデジタルサイネージは、ディスプレイがオンラインに接続されておらず、コントローラーに保存された動画を再生します。最大の特徴は、インターネット環境が要らないため、コストを抑えて導入できるでしょう。また、ネットワークトラブルの心配もありません。しかし、オンラインではないため更新する際は、USBからデータを移行する手間がかかります。
オンライン型のデジタルサイネージは、オンライン上で管理されている動画を取得し再生します。オンライン型の中でもLANやクラウドで管理されるものは、ネットワーク配信が可能です。更新の際も遠隔操作が可能であるため、容易といえるでしょう。ただし、ネットワークを使用するため、通信障害のリスクが伴います。
また、最近はディスプレイにタッチパネルやセンサーを備えたインタラクティブ型のデジタルサイネージも登場しています。他の方法と比べて、AI技術を用いているため、ターゲットによってコンテンツを変えることが可能です。ニーズに合った動画を流すことで効率的に広告効果の向上が狙えるでしょう。懸念点としては、最新の技術を用いているため、導入・運用コストが高くなる傾向にあります。
看板のデジタル化により動画に進出
AIなどの新技術の登場により、さまざまな分野でデジタル化が進んでいます。そのような情勢から、最近ではデジタルサイネージでの訴求に特化した「デジタルサイネージ動画」と呼ばれる動画が登場しました。
通路にある複数のモニターを使用し、それらを連携させることでインパクトの高い広告を流す動画や、オンラインで管理されていることを利用して天候や時間帯によって動画を変えるといった、従来はできなかった街頭広告の実現が可能になりました。
デジタルサイネージ動画が活用されているロケーションって?
街中で見かけることが増えたデジタルサイネージですが、具体的にどのような場所で活用されているのでしょうか。ロケーションごとのデジタルサイネージの活用方法を見てみましょう。
ビルボード広告:屋外の巨大スクリーン
ビルボード広告とは、駅前の大きなビルの壁面にある巨大モニターで流れる広告のことです。「OOH(out of home)広告」の中の一つで、デジタルサイネージ化によって近年注目度が上がっている広告手法になります。
駅前など、人が集まる場所にある巨大なモニターは多くの人の目に入ります。街の景色の1つとして記憶している人もいるでしょう。多くの人が注目する大型モニターでは、テレビCMのような不特定多数の人に向けた動画から、巨大モニターであることを利用したインパクトのある動画まで、さまざまな動画を流すことが可能です。
また、最近では、特定の位置に立って映像を見ると3Dのように見えるモニターもあり、今後も技術の発展により、さまざまな可能性を持っていると考えられます。
交通広告:公共交通機関の広告スペース
こちらもOOH広告の一つで、駅などの構内広告や電車・タクシーなどの車内広告が該当し、デジタルサイネージ化が急速に進んでいます。
構内にあるデジタルサイネージは通路などに設置されているため、さまざまな世代に広くアプローチできますが、「歩きながらしか見てもらえない」「音を出せない」「長くても5秒の動画しか流せない」といった制約があります。
しかし、通路などに複数のモニターがあることを活かし、それらを1つのスクリーンとして動画を流すことが可能です。また、通りすがりの人に役立つ情報をセットで流すことで、積極的に見てもらうこともできるでしょう。
また、電車やタクシーの中にある車内広告は画面が小さく、少人数でしか見ることができませんが、その分、じっくり見てもらえ離脱が少ない可能性があります。
インストア広告:店頭や店内に設置したスクリーン
デジタルサイネージは、自社の店舗や拠点でのインストア広告としても利用されています。店頭や店内に設置されたデジタルサイネージは、サービスや商品を買ってもらうための最後の一手である「ラストワンマイル」を担います。
例えば、店頭に設置されたデジタルサイネージで、セール品やバーゲンの情報動画にして流すことで「入ってみようかな」と思わせ、通りがかりの人を店内に呼び込むことができるでしょう。
店内に設置されたデジタルサイネージは商品・サービスの訴求だけでなく、施設の案内などの動画を流すこともできます。施設を案内することで、客足が施設内の他の場所にも向かう可能性が高まります。
デジタルサイネージ動画を発信するメリット
デジタルサイネージは街中にあるため、他の広告ツールとは違った角度からアプローチができます。次にデジタルサイネージのメリットを見てみましょう。
Webとはまったく違う角度からアプローチできる
デジタルサイネージはPCやスマホで流れるWeb動画と同じように新しいジャンルの動画ですが、Webとは異なり、動画でありながら現実の身近な空間で流すことができます。通りがかりの人の視界に入りやすいため、ストレスを与えることなく情報を伝えることが可能です。
また、デジタルサイネージは街中や空間の一部として存在するため、空間に合わせた演出ができることもメリットといえるでしょう。ブラウザバックや広告ブロックといった動画を排除するツールもないため、確実に動画を流すことができるというメリットもあります。
PRしたいターゲットに絞り込んで強く訴求できる
Web動画はテレビCMのように不特定多数の人に向けて制作しますが、動画を流す場所が固定されるデジタルサイネージには、特定の地域や時間帯に合わせてターゲットを絞ることができます。
例えば、デパートや商業施設がバーゲンの情報を発信する場合、テレビCMやWeb動画で発信するより、最寄り駅構内のデジタルサイネージで発信するほうが、利用者となる可能性が高い人に訴求できるでしょう。
また、デジタルサイネージは時間帯によって放送内容を変更できます。そのため、ターゲットとなる人がデジタルサイネージの前を通ると予測される時間にニーズに合った動画を流すことで、ピンポイントで訴求できるでしょう。
展開や差し替えが柔軟かつスピーディー
デジタルサイネージは従来のポスターや看板と違って、デジタルで管理されています。そのため、ネットワークを使用したデータの差し替えが可能であり、スピーディーに広告を展開することができます。
また、印刷が不要なので多角的に展開しても印刷費用がかさむことがなく、データの複製も迅速かつ容易です。デジタルデータなので、動画の情報を修正する必要が生じた場合でも、ポスターや看板と違って比較的容易に修正できます。
デジタルサイネージは、ポスターや看板よりも柔軟かつスピーディーにコンテンツを展開できるのです。
効果的なデジタルサイネージ動画を制作するポイント
デジタルサイネージ動画はあらゆる空間に設置したモニターで流す広告動画なので、デジタルサイネージという媒体の特徴を踏まえて制作することが大切です。ここでは、制作する際のポイントを確認します。
ロケーションとターゲットを絞り込む
デジタルサイネージ動画は空間に依存するためWebやテレビCMと異なり、ターゲットやロケーションを細かく絞り込む必要があるでしょう。動画を流す場所によって、視聴者である通りがかりの人の属性が大きく異なります。
設置場所によってはターゲットにまったく訴求できないこともあるため、デジタルサイネージ動画を制作する際はターゲットを明確にし、そのターゲットがデジタルサイネージの設置場所にいるかどうかを確認することが大切です。
インパクトと情報量のバランスを取る
デジタルサイネージは、街中にあるモニターを使用した広告動画です。そのため、多くの人の目に入る駅前の大型モニターなどを使用すれば、大きなインパクトを与えることができます。
電車やタクシーなどの車内広告以外のデジタルサイネージは視聴時間が非常に短いため、伝えられることが限られます。また、場所によって視聴時間が大きく異なるため、ロケーションごとに情報量を調節する必要があるでしょう。
視聴者の興味を引くインパクトも大切ですが、同時に短時間で確実に情報が伝わる動画にすることで、さらに効果が高まります。
クオリティにこだわる
デジタルサイネージは街頭広告という性質上、企業のイメージを形成する効果があるといわれています。動画のクオリティが企業イメージに直結するため、自社制作が非常に難しい動画といえるでしょう。
また、公共の場で流れるため、場所に適した動画を制作する必要があります。過去にはデジタルサイネージで流した動画に問題があり、インターネット上で炎上し、わずか1日で動画が取り下げとなった事例もあります。
このように、デジタルサイネージは高いクオリティやさまざまな配慮が求められる動画といえます。
ロケーションに注目!デジタルサイネージ動画の制作事例
では、実際にどのようなデジタルサイネージ動画が制作されているのでしょうか。ここでは、デジタルサイネージ動画の制作事例を見ていきましょう。
イー・ガーディアン株式会社:トレインチャンネル(PROOX制作動画)
イー・ガーディアン株式会社様では、ウェブサイトのトラブルを防ぐ「SITEGUARD」の認知拡大を目的に制作しました。電車内で流れることを意識し、たくさんの乗客に見てもらえるように動画の尺を短くしています。
短い動画の中には、お客様が提供しているサービスの必要性を訴え、視聴者が自分ごと化できるような演出を施しました。
株式会社ジェイコム東京様:新店舗オープン告知(PROOX制作動画)
東京に拠点を置き、デジタル通信事業を中心に展開する株式会社ジェイコム東京様は、新店舗オープンの告知をデジタルサイネージで行いました。吉祥寺駅構内というロケーションで流れる動画なので、文字と写真を使用しながらも情報がシンプルにまとめられています。
歩行中に視聴されることを考慮して5秒から7秒に1回動きを持たせ、歩行中の人の目に入りやすい動画に仕上げています。
KDDI株式会社様:auスマートパスプレミアムサイネージ映像(PROOX制作動画)
携帯電話事業などを手掛けるKDDI株式会社様は、サブスクリプションサービスの認知拡大を目的として、店舗や商業施設のデジタルサイネージで流すことを想定して動画を制作しました。
2.5D(アイソメトリック)アニメーションを使用した動画を右側に配置し、左側にバナーを固定表示することで、目を引きやすい動画でありながら、視聴タイミングによる情報差がない動画となっています。特定のロケーション向けではありませんが、情報を的確に伝えることができる動画といえるでしょう。
https://youtu.be/J0cPAh7Zlyg
ターゲットに刺さる高品質のデジタルサイネージ動画を制作しましょう
デジタルサイネージは新しい街頭広告です。リアルな空間で動画を流すことで、これまでになかった効果を得られることから活用する企業が急速に広まっています。また、近年はターゲットに刺さる高いクオリティの動画が話題になるケースが増えています。
クオリティが高いデジタルサイネージ動画を制作することで、大きな広告効果が期待できますが、デジタルサイネージは空間に依存するためロケーションに左右されるほか、接触時間が短いため的確に伝える映像にする必要があるなど、動画を制作する際はデジタルサイネージならではポイントがあります。
ハイクオリティなデジタルサイネージ動画を自社で制作するのはハードルが高いため、専門の制作会社に依頼することが必要だといえるでしょう。