最近は、YouTubeなどのネット動画の開始時や視聴中にCMが流れることが多くなりました。CMといえばテレビで流れるものを想像する方が多いと思いますが、近年ではネットを使って動画を視聴する人が急増したこともあり、動画サイトにCMを流すWebCM(ウェブCM)の需要が高まっています。
動画ユーザーが急増したことで、企業にとってもウェブでCMを流す価値が高くなりました。WebCMを制作するにあたっては、テレビCMとの違いや効果・メリットなど、理解しておくべきポイントがいくつかあります。
今回は、WebCMとテレビCMの違いや、効果・メリットを中心に詳しく解説します。
WebCMとは?
WebCMとは、YouTubeなどの動画サイトやSNSを通して流す動画広告のことです。近年はスマホや5Gが普及し、動画やSNSを利用するユーザーが急増したため、WebCMを目にする機会が増えています。そのため、CMを制作する側である企業においてもWebCMの価値が高まり、他企業との競争を勝ち抜くための手法としても注目されています。
スマホや5Gの普及によって動画サイトやSNSユーザーが急増しているため、マーケティングの観点でもWebCMを含むウェブ戦略は企業にとって無視できない、必須事項になりつつあります。
WebCMの特徴としては、一般的なテレビCMと違って比較的手軽に制作でき、自由度が高いことが挙げられます。一般的なテレビCMの多くは大企業が制作するものですが、WebCMは大企業でなくても制作できる手軽さと自由度の高さが、大きな魅力といえるでしょう。
WebCMとテレビCMとの違い
WebCMとテレビCMには、どのような違いがあるのでしょうか。WebCMを導入する際は、テレビCMとの違いを理解しておくことが重要です。ここからは、WebCMとテレビCMの違いを項目別に解説します。
訴求対象の広さ
大きな違いの一つは、訴求対象の広さです。テレビCMの場合、チャンネルの規模にもよりますが不特定多数がターゲットになります。一方でWebCMは、動画サイトやSNSなどの利用傾向からターゲットをある程度絞ることができるので、テレビCMよりも細かいターゲティングが可能です。
細かくターゲットを絞ることで、それに応じたテキストやバナーを制作できます。よって、CMの表現や演出の幅が広がり、訴求方法が広がります。
このことからWebCMは制作の自由度が高く、訴求方法が広いことが、テレビCMとの大きな違いといえるでしょう。
需要と供給のバランス
テレビCMの場合は視聴者層の幅が広いため、すべての視聴者のニーズに合ったCMを制作することはできませんが、WebCMの場合はターゲットを絞った制作が可能です。テレビCMの場合は興味のないCMが流れることがありますが、WebCMはターゲットを絞って制作されているので、ユーザーのニーズに合ったCMが流れる確率が高くなります。
WebCMはターゲットが絞られているので、CMの需要と供給のバランスが良いこともテレビCMとの大きな違いといえます。
再生時間の尺
テレビCMの尺は、番組自体の尺にもよりますが15~30秒が一般的です。一方で動画サイトやSNSは、視聴したい動画を好きなだけ視聴できる仕組みになっているので、番組の長さは視聴者のニーズや制作側のさじ加減で決まります。
WebCMの尺は番組の長さに影響されにくいため、短い尺であれば10秒、長い尺であれば数分のものあります。動画視聴者やSNS利用者のニーズに応じて尺をコントロールできることも、WebCMの大きな特徴といえるでしょう。
動画制作における費用対効果
テレビCMの場合、放映する枠を抑えるための「放映費」やCMを制作する「制作費」などのまとまった費用が必要であり、トータルで数千万ほどかかるといわれています。芸能人を起用したり、美術セット制作なども含めるとさらに費用が高くなります。
一方でWebCMは出稿料の融通がきき、演出によっては、低単価で制作することも可能です。WebCMはターゲットを絞って配信されるため、テレビCMのように幅広い層に訴えることはできませんが、WebCMはSNSで拡散されやすいという特徴があります。
幅広い層をターゲットとするテレビCMのほうが、費用対効果が高いイメージがありますが、SNSで拡散されやすいというWebCMの特徴を踏まえると、一概にテレビCMのほうが効果的だとはいえません。
WebCMを制作する効果やメリット
ここからはWebCMの特徴やテレビCMとの違いなどを踏まえて、WebCMを制作することの効果やメリットについて解説します。効果やメリットを知っておくことで、より良いCMを制作できるようになるでしょう。
予算に応じてCMを配信できる
WebCMは幅広い媒体で配信でき、再生時間や制作費もコントロールしやすいので、予算やターゲット層に合ったCMを配信できます。WebCMの制作に使える無料ツールや素材などもたくさんあるので、これらを使って工夫することでさらに制作費を抑えることもできます。
特に、動画広告で人気の高いYouTubeにおけるWebCMに関しては、動画広告のメニューによって特徴や費用が異なり、ターゲットや予算に応じてCMの内容を選ぶこともできます。以下では、YouTube を用いた動画広告を解説しています。
そのほかにもCMを出稿する媒体によって出稿方法や料金が異なるので、出稿する媒体の特徴やユーザー層、出稿料金などを確認し、目的と予算に応じてCMを制作しましょう。
SNSから拡散されることが期待できる
WebCMは、SNSでの拡散効果も期待できます。スマートフォンを活用した若年層のウェブ動画接触率が高くなったことが大きく影響しており、ユーザーが共感できる内容であれば、SNSを通じて広く拡散されることも珍しくありません。
若年層によるSNSでの動画のシェアは一般的になっているので、ユーザーの共感を得られてシェアされやすいCM制作を意識することで、費用対効果も大きく改善するでしょう。
CM効果の分析がしやすい
SNSの「いいね」や「コメント」などの機能や専用の解析ツールなどを使うと、CMの効果を測定しやすいこともWebCMの大きなメリットです。
例えば、Facebookのウェブ動画は「いいね」が押されるだけで、そのユーザーの友達やフォロワーのタイムラインにまで拡散されます。解析ツールを使えば、CMを導入することよって得る効果を正確に計測することが可能です。
WebCMの反応や解析データなどからCMの効果を測定・分析することで、ターゲット層の動向や傾向を知ることができ、より細かいターゲティングが可能になります。また分析結果を踏まえて、より効果の高いCMを制作することもできます。
WebCMを成功へ導くためにできること
WebCMを成功させるためには、視聴者にとって価値があるCMを制作することが重要です。ここからは、WebCMを制作する際のポイントを項目別に解説します。
目的を明確にする
まずは、WebCMを配信する目的を明確にすることが大切です。WebCMを使って何をどのように伝えたいのか、WebCMを配信する目的や期待する効果や目的を明確にしたうえで、着地点を目指します。目的を明確にするためには、情報の整理が必須です。
- WebCMを作る目的を明確にする
- ターゲットを明確にしたうえで選定する
- WebCMを配信する媒体を決める
商品やサービスの場合は、認知度を上げて特徴を知ってもらうことが、主な目的となります。商品やサービスの認知度を上げるには、広告に興味を持つと考えられる層を調査し、ターゲットに向けてCMを配信することが大切です。要約すると「ターゲットを明確にしたうえで選定する」ということです。
CMを作る目的とターゲットが明確になれば、後は「どの媒体でCMを配信すれば効果が高いのか」を考え、CMを配信する媒体を決めることで、より効果的なWebCMをネット上に配信することが可能です。
ターゲット層を明らかにする
CMターゲットが明らかでないと、誰に向けて訴求しているかわからないWebCMになってしまい、期待した効果を得られません。商品やサービスに興味のないユーザーに向けてWebCMを配信すると関心を持たれず、途中で離脱してしまいます。
興味のないユーザーが、CMをきっかけに商品やサービスに興味を持つこともありますが、CMで得られる効果としては決して高いといえないでしょう。目的を明確にし、ターゲット層を明らかにすることで、より効果的なCMを配信することができます。ターゲット層を絞ったCMの制作ができることが、WebCMの大きなメリットなのです。
配信する媒体に合わせた動画を制作する
WebCMを制作する際は、スマホやタブレット、PCといった媒体によって適した動画サイズがあるので注意が必要です。
各媒体に適した動画サイズでWebCMを配信しないと媒体によって動画の「見え方」が違うため、視聴者は見づらく、途中で離脱する原因となります。また、スマホ向けにCMを配信する際は、通勤・通学中の電車やバス内で動画を視聴することを想定し、テロップを使って無音でも内容がわかるようなCMを制作しましょう。
WebCMの制作事例5選
ここからは、WebCMの制作事例をいくつか紹介します。企業によってCMの特徴や狙いが異なるので、以下のケースを参考に自社に合ったWebCMを制作しましょう。
ベルリッツ・ジャパン株式会社:オンライン商談編(PROOX制作動画)
ベルリッツ・ジャパン株式会社様はベネッセのグループ企業の一つで、英会話学校の運営などを行う企業です。2015年までに64校を全国に展開し、英語4技能検定である「GTEC」の運営も行っています。
動画CMは、グローバルなオンライン商談を行う層に向けた内容で、「グローバルで通用するビジネス英語」を学べることを訴求しています。
ベルリッツ・ジャパン株式会社様にて配信している動画CMには、別バーションもあります。ビジネスにおける英語の必要性だけなく、社会全体のグローバル化による英語の必要性を訴えた【帰路編】です。
タクトホーム株式会社:MY SELECT紹介映像(PROOX制作動画)
タクトホーム株式会社様は飯田グループホールディングス株式会社様の完全子会社で、新築分譲住宅・注文住宅などを販売するハウスメーカーです。
イルカのイラストを使った可愛らしいCM動画を制作しており、住宅に関する課題の解消を提案するサービス「マイセレクト」をアニメーション形式で紹介しました。プランや費用などを、イルカを使ったアニメーションでわかりやすくコミカルに解説することで、視聴者の離脱を防ぐ工夫が施されています。
株式会社ヤナセ:ショールームPR映像(PROOX制作動画)
株式会社ヤナセ様は伊藤忠商事傘下の輸入車および中古車の販売業者で、「YANASE」のステッカーでもよく知られています。
CM動画の冒頭で高級車をスタイリッシュに演出しました。綺麗で高級感のあるショールームに訪れるお客様を丁寧に接客する様子をセリフなしで流すことで、企業のイメージをシンプルに伝える内容にしています。映像とBGMだけの構成にすることで、車の存在感をより高めているのがポイントです。
NITOH株式会社:Call Home紹介映像(PROOX制作動画)
NITOH株式会社様は住宅リフォーム、シロアリや害虫の駆除、耐震診断、ハウスクリーニングを手掛ける建設会社です。名古屋をはじめ、三重、東京、大阪で広く事業を展開しています。
制作したWebCMでは、どのような状況においても安心して部屋を選べるということをゾンビに襲われている光景で表現しています。現実ではありえないような緊迫したスリリングな表現によって視聴者を惹きつけ、離脱を防いでいます。
株式会社GPRO:測定器PRバンパー広告映像(PROOX制作動画)
株式会社GPRO様は、建築・土木や解体、不動産業などを幅広く手掛ける企業です。国内だけでなく、中国や韓国を中心にアジアにおいても事業所を展開しています。
また、ゴルフシミュレーターの開発・販売のゴルフ事業開発にも力を入れており、取り扱っている製品「Rapsodoゴルフ弾道測定器」のバンパー広告映像を制作しました。
高品質のWebCMを制作しましょう
WebCMはターゲットを絞ることができるためマーケティング効果は高いですが、メリットや効果をさらに高めるためには、ここで紹介したような情報や知識を踏まえて制作する必要があります。
知識や経験がないままWebCMを1から企画して制作するには、膨大な時間と費用、労力が必要です。WebCMの知識や経験が豊富な動画制作会社に依頼すれば、結果的に短時間でリーズナブルにWebCMを制作できるので、選択肢の一つとして検討する価値があります。
制作する目的や予算になどに応じて動画制作会社をうまく活用し、高品質のWebCMを制作しましょう。