これまでマニュアルは紙で作成するのが一般的でしたが、近年では動画のニーズが高まっていることもあり、マニュアル動画を導入する企業が増えつつあります。この流れは商品を購入した際の取扱説明書だけでなく、企業内における業務や教育のマニュアルにおいても同様です。
ここでは、マニュアル動画の特長や導入のメリット、導入事例などを詳しく紹介します。マニュアル動画に興味のある方や、導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
目次
マニュアル動画とは?
マニュアル動画とは、自社における仕事の内容や製品・サービスなどについて解説する動画のことです。自社内における教育であれば業務手順の説明書や教育マニュアル、製品・サービスであれば取扱説明書など、紙ではなく動画形式で作成したマニュアルになります。
マニュアル動画は紙で作成された従来のマニュアルではなく、使用方法について動きを通して伝えられるため、複雑な内容でも理解しやすいことが特長です。紙であれば数ページ必要になり、説明にも時間がかかりますが、動画であれば数分で詳細を説明できます。
また、紙のマニュアルは必要な部数を作成、保管する必要がありますが、動画はデータとして管理できるため、保管場所が不要であることも大きな特長といえます。
分かりやすいマニュアル動画を作るコツ
マニュアルを動画形式にするうえでポイントになるのは、「いかに分かりやすい動画を制作するか」です。紙のマニュアルよりも便利で効率的とはいえ、肝心の内容が分かりにくいと動画マニュアルを制作する意味がありません。
動画を制作する目的を明確にする
まずは、どのような理由でマニュアルが必要なのか、どういった内容のマニュアルを作りたいのかなど、マニュアル動画を制作する目的を明確にしましょう。目的は状況や環境などによってさまざまですが、マニュアル動画の制作において共通するポイントはいくつかあります。
現状の課題を分析する
まずは、現状の課題を正確に分析する必要があります。現状の課題を正確に分析することで、改善点や原因などが明確になります。
動画の方向性や盛り込む内容を絞っていく
動画の方向性や盛り込む内容を絞ることで、伝えたいことが視聴者により伝わりやすくなります。伝えたいことが多すぎると内容がぼやけてしまい、かえって肝心なことが抜け落ちてしまうおそれがあります。動画の方向性を決め、盛り込む内容を絞って伝えたいことの要点をまとめましょう。
「動画だから伝えられること」を意識する
動画であるからこそ伝えられることや、動画でしかできないことなどを意識することも大切です。書面では伝わらないことを伝えられるのが動画のメリットでもあるので、それを意識するか否かでマニュアル動画の仕上がりは大きく変わります。
紙のマニュアルに書かれていることを動画でただ読むだけでは、マニュアルを動画化する意味がありません。実際に製品を使っている動きを見せるなど、動画でしかできないことを意識して制作しましょう。
目的から動画のテーマを導き出す
目的を明確にすることで、マニュアル動画のテーマを導き出しやすくなります。
例えば、製品の使い方や作業手順が複雑で書面では伝わりにくい場合は、その動きを動画で伝えることが目的となり、それがテーマになります。
どういった目的でどのように伝えるかを明確にすることで、質が高く分かりやすい動画を制作できます。
1つの動画では1つのテーマを扱うようにする
1つの動画の中にテーマが複数あると情報量が多くなり、本当に伝えたいポイントがかえって伝わらなくなることがあります。1つの動画で1つのテーマを扱うようにすれば、マニュアル動画の最初から最後までテーマが一貫するため、より深く理解できます。
誰に向けて作るのかを明確にする
「誰に向けた動画なのか」を明確にすることも重要です。ターゲットを明確にすることで、目的に合った動画を制作することができます。どのような人が視聴するか、またその人がマニュアル動画を視聴する目的を考えることで要点をまとめやすくなるため、ターゲットがブレない動画を制作できます。
特定の資格保有者向け、お客様向け、クライアント向けなど、ターゲットによって制作する動画の方針は変わりますが、視聴者の属性や特徴、立場などをしっかり分析し、それらのニーズに応えられる動画を制作しましょう。
また、動画を視聴する人の情報レベルを想定することも大切です。例えば専門用語が多く登場する場合は、それらの意味を知らなければ動画の内容を理解できないため、視聴者がその専門用語の意味を知っていることを前提にマニュアル動画を制作することになります。
専門用語を知っている人向けであれば問題ありませんが、知らない人へ向けたマニュアル動画の場合は、その専門用語の解説を含めなければなりません。視聴する人の情報レベルを想定し、ニーズにマッチするマニュアル動画を制作しましょう。
構成を作成し情報収集を行う
紙のマニュアルを制作する際は伝えたいことを整理し、構成やストーリーを作っていきます。これはマニュアル動画の制作においても同じです。伝えたいポイントを整理し、構成を作成してマニュアル動画に反映します。構成は動画全体の流れを決めたうえで、何を知ってほしいのかをふまえて考案します。
構成がないまま漠然と情報を探すと不要な情報まで集めてしまい、結局何を伝えたいのかが分からなくなってしまいます。必要とされる情報を効率よく集めるためにも、必ず構成をもとに情報を集まるようにしましょう。
テロップを使用し理解しやすくする
動画に字幕テロップを使うことで、内容の説明を補足することができます。テロップは動画に入れるのも効果的ですが、あえてポイントで使うことでその部分を強調することもできます。
内容を分かりやすくするテロップですが、過度に入れてしまうとかえって視聴者の集中力をそぐことになるので、シンプルで分かりやすい表現を心がけながらバランスよく入れていきましょう。
動画は短時間にし、チャプターは小分けにする
マニュアル動画の長さはできるだけ短くし、チャプターは小分けにするのがおすすめです。時間を短くすることでファイル容量を小さくできますし、長い動画は視聴者の負担になるため離脱の原因になりかねません。
マニュアル動画の長さは5分前後が目安ですが、その中に情報を盛り込みすぎると本当に伝えたいことが伝わらなくなるので注意しましょう。短くて情報が入りきらない場合はチャプターを小分けにする、ニーズ別に複数の動画を制作するといった工夫によって、視聴者は必要とする情報を探しやすくなります。
マニュアル動画の作り方について
マニュアル動画はどのように制作すればよいのでしょうか。ここからは、マニュアル動画の制作方法や把握しておきたいポイントを4つ紹介していきます。
ターゲットを決める
マニュアル動画を制作する際は、最初に「ターゲット」を決めます。ターゲットが新入社員の場合と、取引先の担当者の場合では動画の内容もターゲットに応じて変更すべきでしょう。また、ターゲットを決めた後は「ゴール」を明確にすることも重要です。ゴールを明確にすることで「どのようなコンテンツを取り入れるべきか」「どういった言葉を使うべきか」などが分かりやすくなります。
動画内容の企画・構成を行う
ターゲットを決めた後は、動画内容の企画・構成を行います。このフェーズの目標は全体の流れを組み立てることです。例えば、YouTube動画のライブ配信方法が分からない人をターゲットととして、YouTube動画のライブ配信方法に関する構成を組み立ててみましょう。具体的には、以下のようになります。
- YouTube動画のライブ配信に必要なもの
- YouTube動画のライブ配信のやり方
- YouTube動画のライブ配信における基本操作
- 実際にYouTube動画のライブ配信を行っている様子
このように動画内容の企画・構成を行うことで、後々の作業が円滑に進むでしょう。
企画・構成を基に撮影を行う
続いて、企画・構成を基に撮影を行います。このフェーズまでに撮影機材や撮影場所などの準備を進めておきましょう。撮影時には角度を変えながら別パターンをいくつか撮影しておくことが大切です。同じシーンでも撮影する角度によって見え方が異なります。再撮影のリスクを防ぐためにも、別パターンをいくつか撮影しておきましょう。
ナレーション挿入・編集を行う
撮影が完了した後は、ナレーション挿入・編集を行いましょう。ナレーションを挿入することで、聴覚にも訴求できるため、映像の内容を補足できます。また、編集では「字幕の挿入」「不要なシーンのカット」などを行いましょう。近年では、電車やバスなどで動画を視聴する人も多いため、字幕を用意すれば効果的に訴求できます。さらに、テロップやBGMも活用すれば品質の高い動画に仕上がるでしょう。
マニュアル動画の種類
マニュアル動画は「自社における仕事の内容や製品・サービスなどについて解説する動画」と定義が広いですが、目的に応じて分類すると理解しやすくなります。
業務手順のマニュアル
アニメーションや実写で表現すれば、書類の書き方や申請の行い方などの業務手順を簡潔に伝えられます。社内での活用の他にも、ユーザーやお客様に対しても活用できるでしょう。
業務内容にもよりますが、紙のマニュアルの場合はページ数が増え、それに伴って解説する量も増えるため時間がかかりますが、マニュアル動画であれば動きを伴う解説を一度にまとめて行えるので時間をかけず、簡潔に内容を伝えられるでしょう。
また、マニュアル動画は動きを映像に残せるため、指導係の負担が軽減されます。
これまでは、ある作業の手順を指導係が手取り足取り教える必要がありましたが、マニュアル動画を導入すればマンツーマンによる指導が不要になります。指導係がいなくても複数の人に同時に業務手順を教えられるため、人的コストや時間的コストも削減可能です。
営業用のマニュアル
営業用のマニュアル動画は、営業職の社員に向けて、商品やサービスを売り込むためのプロセスやノウハウを伝えるために用いられます。営業におけるセールスプロセスが迅速に浸透するため、営業部門の売上拡大が期待できるでしょう。
営業職は個人の業績に差が出ることが多く、トップセールスを誇る営業マンとそうでない営業マンの間に格差が生じます。マニュアル動画を活用することで、トップセールスマンの培ったノウハウを他の営業マンに共有できることも、動画をマニュアル化するメリットの1つです。
営業マンとして働くために必要な実践的ノウハウを習得できるため、質が高く実践的な営業マンを育成できることも大きなメリットといえるでしょう。
アズビル株式会社様では、CGアニメーションを用いて、「電子流量計」の内部構造を可視化したうえで紹介しています。テロップや動きを適所に入れることで、誰が見ても理解しやすく、営業ツールとして活用できる動画となっています。
研修用のマニュアル
研修は内容や理解度によって新人社員が即戦力になるかや、その後の成長に大きく影響します。研修用のマニュアルを動画化すれば、新人社員の教育を短時間にまとめられ、高水準の研修が実現できるでしょう。
また、営業用マニュアル動画と同様に、紙ではなく動画に残すことで実技を交えた研修を行えるため、より実践的で効果的であり、かつ複数の人に研修内容を短時間で浸透させられます。
研修用マニュアル動画は新人教育用だけでなく、管理職や店長職向けの店舗運営マニュアル動画などもあります。研修をテーマ別に分けることで、それぞれの研修内容に特化したマニュアル動画を制作可能です。
株式会社クイッククローバー様では、派遣社員向けの教育研修動画を公開しています。動画内では、実写とアニメーションを組み合わせることにより、実務がイメージしやすいようにしています。
製品チュートリアル動画
製品チュートリアル動画は、製品の取扱方法に関する情報を動画で撮影し、マニュアル化したものを指します。製品やサービスを購入したユーザーに、チュートリアル形式の動画で解説することで、製品やサービスの使用方法や効果をより詳しく伝えられるでしょう。
製品やサービスが複雑な場合でも、使用方法を映像で見ることができるため理解しやすいといえます。また、昨今多く流通しているSaaS系ツールに関して、ツールのマニュアル映像を多く用意することで、クライアントの顧客満足度改善に繋がり、最終的にはLTVの向上に貢献することが可能です。
サイボウズ株式会社様では、提供しているアプリの使い方やメリットについて、アニメーションを用いて表現しています。1つの動画でアプリの持つ特性を理解できる動画構成になっています。
マニュアル動画を制作するメリット
マニュアル動画制作することで、社員教育や営業・セールスなど幅広い分野でのメリットが期待できます。
時間や場所に関係なく視聴でき理解度が高まる
マニュアルを動画にすることで、視聴者は視覚だけでなく聴覚からも情報を収集できるため、より深く理解できます。紙のマニュアルの場合は、内容を理解したうえで実践的な研修を行うことで理解度が高まりますが、動画マニュアルの場合は映像で一連の流れを見ることができるので、短時間で深く理解できるでしょう。複雑な手順などを理解しやすいため、ミスや不安の軽減につながります。
また、これまでの研修は時間と場所を確保する必要がありましたが、マニュアル動画は都合のよいときにスマホやパソコンで手軽に視聴できるため、金銭的・時間的コストを削減できます。
必要な情報を網羅できる
紙マニュアルは「飛ばし読み」されることも少なくありませんが、マニュアル動画は基本的に最初から最後まで視聴されるため、必要な情報が正確に伝わりやすいといえます。
紙のマニュアルは読み返しが必要で時間がかかりますが、マニュアル動画は短時間で要点をまとめることができるので、視聴にあまり時間がかからないのも大きなメリットです。
コスト削減が期待できる
動画はファイルとして保存すれば、いつでも活用できるため、紙代やインク代などのコストがかかりません。
また、データの複製も容易なので、情報を共有しやすいこともメリットといえます。
必要な箇所を繰り返し視聴できる
紙のマニュアルは必要な情報の抜き取りが困難ですが、動画はチャプター分割ができるため、そのときに視聴したい部分を探しやすいでしょう。
視聴したい箇所を何度でも繰り返し再生でき、またスマホやパソコンを使って好きなタイミングで視聴できるので、紙のマニュアルよりも便利で効率的といえます。
マニュアル動画のデメリット
一方で、マニュアル動画にはデメリットもいくつか存在します。どのような欠点があるのかをあらかじめ把握しておきましょう。
多くの情報を伝えにくい
マニュアル動画は短時間で要点をまとめられるというメリットがある反面、多くの情報を伝える場合には不向きだと言えます。詳細や補足情報までを伝えようとすると動画が長くなり、感覚的に理解できるマニュアル動画の特徴を活かせなくなるでしょう。
どうしても詳細や多くの情報を伝えたい場合は、項目やジャンル別に分けた動画を用意しておくことをおすすめします。1つの動画はできるだけ短い時間内に収めることを意識しましょう。
動画閲覧用の端末と通信環境が必要である
動画でマニュアルを見るためには、閲覧用のスマホやパソコンが必要です。動画閲覧用の端末さえあれば手軽に視聴できるということは、端末がなければ動画を視聴できないことを表しています。またクラウドに動画を保存する場合は、通信環境も必要になります。
パソコンの用意や通信環境の設備など、社員がマニュアル動画を視聴する環境が整っているかあらかじめ確認しておきましょう。
動画制作の知識・技術が求められる
マニュアル動画を自社で制作する場合は、動画制作の知識や技術が求められます。無料のアプリやソフトを活用すればコストを抑えながら制作できますが、動画のクオリティには課題が残ってしまいます。
また一度制作した動画を修正するときも、紙のように簡単には修正できません。制作時だけでなく内容を修正する際も知識や技術が求められます。質の高いわかりやすいマニュアル動画を制作したい場合は、ある程度の知識や制作会社への依頼が必要不可欠でしょう。
マニュアル動画の作り方について
マニュアル動画はどのように制作すればよいのでしょうか。ここからは、マニュアル動画の制作方法や把握しておきたいポイントを4つ紹介していきます。
ターゲットを決める
マニュアル動画を制作する際は、最初に「ターゲット」を決めます。ターゲットが新入社員の場合と、取引先の担当者の場合では動画の内容もターゲットに応じて変更すべきでしょう。また、ターゲットを決めた後は「ゴール」を明確にすることも重要です。ゴールを明確にすることで「どのようなコンテンツを取り入れるべきか」「どういった言葉を使うべきか」などが分かりやすくなります。
動画内容の企画・構成を行う
ターゲットを決めた後は、動画内容の企画・構成を行います。このフェーズの目標は全体の流れを組み立てることです。例えば、YouTube動画のライブ配信方法が分からない人をターゲットととして、YouTube動画のライブ配信方法に関する構成を組み立ててみましょう。具体的には、以下のようになります。
- YouTube動画のライブ配信に必要なもの
- YouTube動画のライブ配信のやり方
- YouTube動画のライブ配信における基本操作
- 実際にYouTube動画のライブ配信を行っている様子
このように動画内容の企画・構成を行うことで、後々の作業が円滑に進むでしょう。
企画・構成を基に撮影を行う
続いて、企画・構成を基に撮影を行います。このフェーズまでに撮影機材や撮影場所などの準備を進めておきましょう。撮影時には角度を変えながら別パターンをいくつか撮影しておくことが大切です。同じシーンでも撮影する角度によって見え方が異なります。再撮影のリスクを防ぐためにも、別パターンをいくつか撮影しておきましょう。
ナレーション挿入・編集を行う
撮影が完了した後は、ナレーション挿入・編集を行いましょう。ナレーションを挿入することで、聴覚にも訴求できるため、映像の内容を補足できます。また、編集では「字幕の挿入」「不要なシーンのカット」などを行いましょう。近年では、電車やバスなどで動画を視聴する人も多いため、字幕を用意すれば効果的に訴求できます。さらに、テロップやBGMも活用すれば品質の高い動画に仕上がるでしょう。
分かりやすいマニュアル動画を制作するコツ
マニュアルを動画形式にするうえでポイントになるのは、「いかに分かりやすい動画を制作するか」です。紙のマニュアルよりも便利で効率的とはいえ、肝心の内容が分かりにくいと動画マニュアルを制作する意味がありません。
動画を制作する目的を明確にする
まずは、どのような理由でマニュアルが必要なのか、どういった内容のマニュアルを作りたいのかなど、マニュアル動画を制作する目的を明確にしましょう。目的は状況や環境などによってさまざまですが、マニュアル動画の制作において共通するポイントはいくつかあります。
現状の課題を分析する
まずは、現状の課題を正確に分析する必要があります。現状の課題を正確に分析することで、改善点や原因などが明確になります。
動画の方向性や盛り込む内容を絞っていく
動画の方向性や盛り込む内容を絞ることで、伝えたいことが視聴者により伝わりやすくなります。伝えたいことが多すぎると内容がぼやけてしまい、かえって肝心なことが抜け落ちてしまうおそれがあります。動画の方向性を決め、盛り込む内容を絞って伝えたいことの要点をまとめましょう。
「動画だから伝えられること」を意識する
動画であるからこそ伝えられることや、動画でしかできないことなどを意識することも大切です。書面では伝わらないこと伝えられるのが動画のメリットでもあるので、それを意識するか否かでマニュアル動画の仕上がりは大きく変わります。
紙のマニュアルに書かれていることを動画でただ読むだけでは、マニュアルを動画化する意味がありません。実際に製品を使っている動きを見せるなど、動画でしかできないことを意識して制作しましょう。
目的から動画のテーマを導き出す
目的を明確にすることで、マニュアル動画のテーマを導き出しやすくなります。例えば、製品の使い方や作業手順が複雑で書面では伝わりにくい場合は、その動きを動画で伝えることが目的となり、それがテーマになります。どういった目的でどのように伝えるかを明確にすることで、質が高く分かりやすい動画を制作できます。
1つの動画では1つのテーマを扱うようにする
1つの動画の中にテーマが複数あると情報量が多くなり、本当に伝えたいポイントがかえって伝わらなくなることがあります。1つの動画で1つのテーマを扱うようにすれば、マニュアル動画の最初から最後までテーマが一貫するため、より深く理解できます。
誰に向けて作るのかを明確にする
「誰に向けた動画なのか」を明確にすることも重要です。ターゲットを明確にすることで、目的に合った動画を制作することができます。どのような人が視聴するか、またその人がマニュアル動画を視聴する目的を考えることで要点をまとめやすくなるため、ターゲットがブレない動画を制作できます。
特定の資格保有者向け、お客様向け、クライアント向けなど、ターゲットによって制作する動画の方針は変わりますが、視聴者の属性や特徴、立場などをしっかり分析し、それらのニーズに応えられる動画を制作しましょう。
また、動画を視聴する人の情報レベルを想定することも大切です。例えば専門用語が多く登場する場合は、それらの意味を知らなければ動画の内容を理解できないため、視聴者がその専門用語の意味を知っていることを前提にマニュアル動画を制作することになります。
専門用語を知っている人向けであれば問題ありませんが、知らない人へ向けたマニュアル動画の場合は、その専門用語の解説を含めなければなりません。視聴する人の情報レベルを想定し、ニーズにマッチするマニュアル動画を制作しましょう。
構成を作成し情報収集を行う
紙のマニュアルを制作する際は伝えたいことを整理し、構成やストーリーを作っていきます。これはマニュアル動画の制作においても同じです。伝えたいポイントを整理し、構成を作成してマニュアル動画に反映します。構成は動画全体の流れを決めたうえで、何を知ってほしいのかをふまえて考案します。
構成がないまま漠然と情報を探すと不要な情報まで集めてしまい、結局何を伝えたいのかが分からなくなってしまいます。必要とされる情報を効率よく集めるためにも、必ず構成をもとに情報を集まるようにしましょう。
テロップを使用し理解しやすくする
動画に字幕テロップを使うことで、内容の説明を補足することができます。テロップは動画に入れるのも効果的ですが、あえてポイントで使うことでその部分を強調することもできます。
内容を分かりやすくするテロップですが、過度に入れてしまうとかえって視聴者の集中力をそぐことになるので、シンプルで分かりやすい表現を心がけながらバランスよく入れていきましょう。
動画は短時間にし、チャプターは小分けにする
マニュアル動画の長さはできるだけ短くし、チャプターは小分けにするのがおすすめです。時間を短くすることでファイル容量を小さくできますし、長い動画は視聴者の負担になるため離脱の原因になりかねません。
マニュアル動画の長さは5分前後が目安ですが、その中に情報を盛り込みすぎると本当に伝えたいことが伝わらなくなるので注意しましょう。短くて情報が入りきらない場合はチャプターを小分けにする、ニーズ別に複数の動画を制作するといった工夫によって、視聴者は必要とする情報を探しやすくなります。
実際に制作されたマニュアル動画事例
上記では、マニュアル動画の特徴やメリットなどを紹介しました。しかし、明確なイメージが湧いていない人も多いのではないでしょうか。ここからは、実際に制作されたマニュアル動画の事例を4つ紹介していきます。
株式会社プルークスではマニュアル動画制作についても実績が多数ありますので、ぜひご相談ください。
CLINKS株式会社様:マニュアル動画(PROOX制作動画)
システム開発・アプリ開発を手掛けるCLINKS株式会社のクラウド勤怠管理システム「キンクラ」のマニュアル動画です。管理職向けの操作マニュアル動画で、操作方法で不安になりやすい部分を取り上げてまとめています。
キンクラの機能を図示して最初に示したうえで、一つ一つの機能に関連する作業の様子を具体的に画面に表示して説明しています。作業内容と目的を動画にテキストで表示することで、音声なしでもわかりやすい動画にしました。操作しているイメージが湧きやすいので、販促の目的でも活用できる動画に仕上がっています。
株式会社リンクアンドモチベーション様:モチベーションクラウドマニュアル映像(PROOX制作動画)
日本最大級のエンプロイーエンゲージメントのデータベースを持つ組織改善クラウド「モチベーションクラウド」のマニュアル映像制作を行いました。こちらのサービスは、人事担当者や現場社員が組織のPDCAサイクルを回し、組織力を自ら強化していける状態を実現することが可能になるサービスです。HP掲載用のマニュアル映像となっております。
ハウス食品様:レシピ・作り方紹介(PROOX制作動画)
大手食品企業であるハウス食品が展開する製品(フルーチェ)を使ったレシピ動画です。
製品の特長と、それを生かしたレシピを動画で見せることで、製品の強みを視聴者に伝えています。
吹き出しが読みやすく、製品と手だけのシンプルな映像なので、子どもが視聴しても分かるようになっています。シンプルで伝わりやすい内容になっているのがポイントです。
ハウスのホームページやYouTubeなどで展開されている動画で、ハウスのホームページに掲載されているレシピを動画で確認できます。
ハイアールジャパン株式会社様:設置方法説明(PROOX制作動画)
電機メーカーであるハイアールジャパンの洗濯機の据え付け方法を解説した動画です。洗濯機本体の設置方法を説明する前に、これから紹介する手順をあらかじめ表示することで何について説明するのか認識されやすい工夫を施しました。
また、テキストのみでは理解しにくい箇所にはアニメーションを用いて説明を行っているため、理解しやすい映像といえるでしょう。さらに、柔らかい表現で説明しているので、継続視聴がされやすいといえます。
株式会社インテック様:EXpath_マニュアルデモ動画(PROOX制作動画)
生産やビジネスなどのさまざまなITツールを開発・提供する株式会社インテックのExpath(エクスパス)の使い方を紹介する動画です。検体受取・到着確認のプロセスを、実際の画面を表示しながらフローに沿って紹介しています。ハイライトをしてメニューのどこに何があるのかがわかるように説明し、全体像をつかんでから具体的な作業に移れるように説明しています。
デモ画面の表示に加えてカスタマイズできる部分についても例を挙げて説明に取り入れました。マニュアル動画としてだけでなく、サービス紹介の営業やマーケティングにも利用できる動画です。
マニュアル動画で企業への理解を深めましょう
企業がマニュアル動画を導入するメリットは、たくさんあります。内容と質はそのままに、従来の紙のマニュアルに比べて視聴者に短時間で効率的に伝えられるだけでなく、コスト面のメリットも多くあります。また、ターゲットを絞ったマニュアル動画を活用することは、業務効率の改善も期待できるでしょう。
企業PR用や製品・サービスの訴求用だけでなく、企業内の研修用や教育用としてもマニュアル動画を導入することがおすすめです。
マニュアル動画に関してよくあるQ&A
最後に、マニュアル動画に関してよくある質問をQ&A形式で紹介します。マニュアル動画に関して疑問を感じた際は、下記の内容を参考にしてみてください。
Q. マニュアル動画とは何ですか?
A. 自社の仕事内容や製品・サービスについて解説する動画のことです。
マニュアル動画は紙媒体で作成された従来のマニュアルではないため、詳細情報について動きを通して伝えられます。
Q. マニュアル動画の種類は?
A. マニュアル動画の種類は4つあります。
・業務手順のマニュアル(書類の書き方や申請の行い方などを伝えることに適している)
・営業用のマニュアル(営業ノウハウを伝えることに適している)
・研修用のマニュアル(新入社員の教育に適している)
・製品のチュートリアル(製品の詳細情報を伝えることに適している)
それぞれメリットがあるため、自社の目的に合わせたマニュアル動画を取り入れてみてください。
Q. マニュアル動画を制作するメリットは?
A. 視聴者の理解力が高まることに加えて、時間や場所を問わず繰り返し視聴できることが挙げられます。また、企業のコスト削減も期待できるでしょう。
Q. 品質が高いマニュアル動画を制作するコツはありますか?
A. 最初に動画の内容を考えるのではなく、ターゲットやゴールを明確に設定することが重要です。
撮影時には同じシーンでも撮影する角度によって見え方が異なるため、角度を変えながら別パターンをいくつか撮影しておきましょう。さらに、字幕やテロップ、BGMなどを積極的に活用することもおすすめです。