企業のマーケティング活動において、動画を取り入れる動きが広がっています。しかし、動画を活用できていない企業や、動画の活用方法がわからないという企業も多いのではないでしょうか。
本稿では、BtoBマーケティングに焦点をあて、多くの企業で動画を活用している背景や、メリット、活用事例などについて解説します。これから動画を活用したいと考えている企業の担当者様は、ぜひ参考にしてください。
目次
BtoB市場で動画を活用すべき理由
近年、BtoBの分野において動画活用が広がっていることは、偶然や一時的な流行ではありません。活用されるべくして活用が進んでおり、今後も動画を活用する企業が広まっていくと考えられます。
以下では、BtoB市場において動画を活用すべき理由について見ていきましょう。
「BtoBマーケティング」と「BtoCマーケティング」の違い
BtoBとBtoCにおけるマーケティングには、ターゲットに根本的な違いがあります。BtoBでは、「法人や団体を対象としたマーケティング」を展開しますが、BtoCでは「個人向けのマーケティング」を行います。
BtoBの取引では、法人や団体と取引を行うため金額が大きくなることが多く、商品やサービス購入は担当者の一存ではなく複数の関係者によって決定されます。そのため、購入までの意思決定に一定の期間を要することになります。
特に決裁権を持つマネージャー層、経営者層に対しては、商品の特長や企業を認知してもらうとともに、費用対効果や業務効率化などの経営上のメリットをしっかり示すことが必要です。
BtoBの取引は継続性が求められるため、企業の安定性やブランド力も意思決定を左右する重要な要素となります。企業や商品に対する良いイメージを、現場の担当者だけでなく広い層に伝えることで、事業活動をしやすい環境を作ることもBtoBマーケティングの役割です。
動画市場の成長・拡大
一般財団法人デジタルコンテンツ協会の「動画配信市場調査レポート2022」によれば、動画配信(VODサービス、ライブ配信サービス)市場は2016年には1630億円でしたが、2021年には4230億円まで右肩上がりで成長しています。市場は続けて成長が見込まれ、2026年には市場規模は5250億円にまで広がるだろうと見られています。
さらに、動画市場の拡大を映す鏡となるのが動画広告市場です。サイバーエージェント社の「2021年 国内動画広告の市場動向調査」によれば、2021年の動画広告市場は4195億円で2022年に5457億円、2025年には1兆円規模に達すると予測しています。
株式会社SheepDogが運営するITツール比較サイト「STRATE[ストラテ]」が2021年12月に行った「YouTubeの仕事利用に関するアンケート」では、3割ほどの人が仕事の調べ物にYouTubeを活用しているそうです。
このことから、多くの人がビジネス・プライベートを問わず、日常的に動画を視聴するようになりつつあると考えられるでしょう。そのため、企業が顧客との接点として動画を活用することは当然の流れといえます。動画市場は、通信技術の進化とともに一層拡大すると予想されることから、この流れは継続すると見られます。
動画コンテンツの特徴
動画コンテンツは視覚と聴覚に同時にアプローチできる情報伝達手段で、映像と音声を組み合わせることで、複雑な情報や概念を短時間で直感的に伝えることができます。特に、アニメーションやインフォグラフィックは、テキストや静止画では理解が難しい内容を効果的に表現可能です。
次に、動画は感情に訴える力が強く、視聴者の関心を引きつける効果があります。ストーリーテリングや音楽、登場人物の表情などを通じて視聴者に共感を与え、ブランドやメッセージを印象付けます。この特徴は、商品紹介や事例動画、キャンペーンのプロモーションなどで特に効果的です。
さらに、動画は多様なデバイスやプラットフォームで視聴可能であり、SNSやWebサイト、メールなど、あらゆるマーケティングチャネルに適応します。また、動画を含むコンテンツは検索エンジンでの評価が向上して露出が増える傾向にあることから、SEO的にも有利とされています。
加えて、動画は視聴データの追跡が容易で、視聴時間や離脱ポイントなどの分析を通じ、コンテンツの効果測定や改善が可能です。このように、動画コンテンツは情報伝達力、感情への訴求力、分析可能性といった特徴を持つため、現代のデジタルマーケティングにおいて欠かせないツールとなっています。
BtoBマーケティングに動画を活用するメリット
BtoBマーケティングに動画を活用することで、次のようなメリットが期待できます。
●訴求力が高く、行動につながりやすい
文章や画像だけでは、商品・サービスの説明が十分に伝わらないことがあるでしょう。動画であれば、アニメーションやCGといった演出の幅が広げられるため、商品・サービスの使用イメージや品質などが伝わりやすくなります。
高品質な動画であれば、商品・サービスを強く訴求し、購入や問い合わせなどの顧客獲得につなげやすくなります。また、動画のなかで視聴者に強い印象を与えることができれば、記憶に残り他社との差別化も期待できるでしょう。
●当初の目的以外にも利用できる
例えば、展示会用に制作した商品説明動画を営業資料として使ったり、採用活動のために作成した企業紹介動画を編集してセミナーイベントの待ち時間に流したりといった使い方も可能です。
しかし、制作した動画を編集・改編する場合は注意が必要です。動画は著作物であり、勝手な編集・改編は著作権侵害に触れるため、制作元に依頼するようにしましょう。
●動画をプレゼン用の参考資料にできる
高品質な動画であれば、クライアントが社内で商品・サービスを導入するか協議する場において、判断材料として活用いただくことも可能です。
クライアント側で担当者が社内承認を得る一般的なフローとして、外部ベンダーとのやり取りを持ち帰り、決済者に向けて社内提案を行いますが、その担当者が商品・サービスの特長やメリットをうまく伝えられるかはわかりません。動画であれば、経営者層やマネージャー層にも商品・サービスについてわかりやすく訴求でき、受注の後押しに繋がるでしょう。
●SEO効果が高まり、オンラインでの露出が増加する
動画コンテンツをWebサイトやSNSに埋め込むことで、検索エンジンでの評価が向上する可能性があります。特に、YouTubeやLinkedInなど、動画が優遇されるプラットフォームを活用することで、ターゲット層に効果的にリーチできます。
●商談の効率が上がる
動画は短時間で要点を伝えられるため、製品やサービスの説明にかける時間を削減できます。営業担当者の負担軽減につながるとともに、コミュニケーションや提案により多くの時間を割くことが可能になります。
BtoBマーケティングに動画を活用するデメリット
BtoBマーケティングへの動画の利用は、次のようなデメリットがあることも押さえておきましょう。
●制作コストと時間がかかる
動画コンテンツの制作には、企画・撮影・編集などのプロセスが必要で、テキストや静止画に比べるとコストや時間がかかります。特に、アニメーション制作や高度な編集を行う場合、制作予算が大幅に増える可能性があります。さらに、動画の品質は信頼性に影響するため、低品質な動画は逆効果になることもあります。
●更新が必要
製品やサービスが変更した際は、動画の一部を修正するために再編集や再制作が必要となる場合があります。動画コンテンツは静止画やテキストよりも変更が難しく、情報の鮮度を保ちにくいと言えます。
●視聴環境や時間に制約がある
動画の視聴には、安定したインターネット接続や一定の時間が必要です。特に、決定権を持つマネージャー層や経営者層は忙しいことが多く、長時間の動画は敬遠される可能性があります。また、社内のセキュリティ制約などで動画プラットフォームへのアクセスが制限されている企業もあるため、必ずしもすべてのターゲットにリーチできるわけではありません。
BtoBマーケティングでの動画の活用シーンと具体的な制作事例
BtoBマーケティングでは多くの場合、サービス・商品の認知を広げてリード(見込み顧客)を獲得し、商談に繋げるまでを担当します。具体的には「認知拡大」「リード獲得」「リード育成」といったステップがありますが、こうしたマーケティング上の意図を含んだ動画が制作・活用されています。
以下では、活用シーン別に弊社における実際の制作事例を紹介します。
認知拡大〜リード獲得:動画広告
動画による認知やリードの獲得は、Web上の広告動画(WebCM)やテレビCMといった動画広告が活用されます。媒体によってリーチできる層が異なるため、ターゲットの属性を考えて媒体を選ぶことが大切です。
認知拡大〜リード獲得:OOH広告
OOH(Out Of Home)広告とは、街でみかけるデジタルサイネージや、タクシー内のディスプレイを使った交通広告などを意味し、ここ数年で急速に勢いを増しています。Web広告と比較するとコストは高めですが、BtoBに適した媒体を絞りやすく、繰り返し視聴してもらうことで、認知やリードを効率よく獲得できます。
リード獲得〜リード育成:サービス紹介動画・事例動画
現代のマーケティングではリードの育成が重要になっていますが、サービス内容や事例を紹介する動画によって、商品・サービスに関する情報の理解を促進し、検討の温度感を醸成する効果を期待できます。こうした動画は自社のWebサイトや展示会などの営業の場、セミナーなどのイベントで幅広く使用可能です。
https://youtu.be/6F9c6_6JG5E
その他(インナーブランディング、採用)
動画は、企業のブランディングや採用活動にも活用できます。ブランドイメージや多くの情報をわかりやすく表現できるほか、一貫性のあるメッセージを発信できます。
BtoBマーケティングでよく利用される動画の種類
BtoBマーケティングで利用する動画の種類は目的によって異なります。ここでは、よく利用される5種類の動画について、目的や特徴を説明します。
会社紹介動画
会社紹介動画は、自社のヒストリーや事業内容、ブランド・サービスなどを伝えるために制作します。社内の実際の映像や、経営陣や従業員のインタビューを用いることが多く、企業イメージの向上を図り、取引先やパートナー候補に信頼感を与える効果が期待できます。
商品・サービスの紹介動画
商品・サービスの紹介動画は、製品やサービスの魅力や価値を効果的に伝えるために制作します。製品の使用シーンやアニメーションを活用して視聴者に具体的な利便性やメリットをイメージさせ、購買意欲や導入意識を喚起する役割を果たします。
事例・インタビュー動画
事例・インタビュー動画は、自社製品やサービスを導入した顧客の体験や成果を伝えるために制作します。リアルな声や具体的な事例を通じて、視聴者に信頼感を与えるとともに、自社の提供価値を直感的に理解させる効果があります。
動画広告・YouTube広告
動画広告・YouTube広告は、自社の製品やサービスを短い時間で印象付けることを目的に制作します。インパクトのあるビジュアルや音声を使って視聴者に記憶に残るメッセージを伝えることで、ブランド認知や新規顧客へのアプローチを効果的に行えます。
展示会などのイベント用動画
展示会などのイベント用動画は、ブース来場者やセミナー参加者に自社の強みを伝えるために制作します。ビジュアルでの訴求力を活かし、短時間で企業や製品の魅力を伝えることで、商談のきっかけを作る重要な役割を担います。
BtoBマーケティングの動画活用を成功させるためのポイント
BtoBマーケティングにおける動画活用を成功させるためには、何を意識するべきでしょうか。特に重要と思われるポイントを以下にて紹介します。
ターゲットを明確にする
動画に限らず、マーケティングではターゲットを明確にすることが大切です。ターゲットを具体的に定めることで、効果的なフレーズや提供すべき情報が変わります。
例えば、現場の担当者がターゲットであれば「業務が楽になる」「サポートが充実」などが刺さるでしょう。マネージャー層であれば「生産性アップ」「コストダウン」などを押し出すことで、購入や問い合わせにつながりやすくなります。
ターゲットを明確化するためにペルソナを作成し、いつ、どのような場面でターゲットが動画に触れるのかを具体的に考え、適切に情報を提供するのがポイントです。
意思決定に必要な情報を入れる
ターゲットに対し意思決定を促すための動画であれば、担当者にとっての利便性だけでなく決裁権を持つ層が意思決定しやすいような情報を提供することも大切です。
例えば、類似商品・サービスとの違いや料金などを動画内で伝えることで、決裁者も判断がしやすくなるでしょう。また、担当者のように現場のイメージがわかない場合も多いため、デモ画面や他社の導入事例などの情報を提供することも効果的です。
高クオリティな動画を制作する
動画によるマーケティングでは、高品質な動画を制作することで成果を生み出すことができるでしょう。すでに多くの動画が普及しているなかで、自社の動画を覚えてもらうためには高品質な動画を公開する必要があります。
動画の品質が高ければ、商品・サービスについても品質が期待でき、しっかりした企業だというアピールになります。動画の品質は編集や演出だけでなく、企画が大きく左右するため、企画力のあるプロに依頼することをおすすめします。
自社の魅力を明確にする
動画を通じて強みや独自性を効果的に伝えるには、自社の魅力を明確にすることが重要です。他社と差別化できる特徴や顧客に提供できる価値を具体的に洗い出し、それを動画内でわかりやすく表現します。例えば、技術力の高さやサポート体制の充実、業界での実績などを強調することで、視聴者に「選ぶ理由」を納得させることができます。
また、企業のビジョンやミッションを盛り込むことで、ターゲットに共感を呼び起こすことも可能です。自社の魅力を明確化し、それに基づいて一貫性のあるメッセージを伝えることで、ブランドイメージの向上や信頼感の醸成につながります。
使う場面に合わせて制作する
動画を成功させるには、配信するチャネルごとに最適化を行うことが重要です。YouTube・LinkedIn・メールマーケティング・展示会用など、チャネルごとに視聴者の特性や目的が異なり、それに合わせて長さや形式、トーンなどを適切に調整する必要があります。例えば、SNS向けの短い動画では冒頭数秒で強いインパクトを与えることが求められ、ウェビナー用の動画ではより詳細な情報を盛り込むと効果的です。
動画制作の流れとは?
BtoB動画は、基本的に次の流れで制作します。
- 目的・予算・納期の設定
- 企画とストーリーボードの作成
- 撮影や素材の準備
- 編集と制作
ここからは、それぞれのステップについて見ていきましょう。
目的・予算・納期の設定
まずは、動画を制作する目的(ブランド認知向上・製品やサービスへの理解促進など)とターゲット(意思決定者・現場担当者など)を明確にし、動画で伝えるべきメッセージを具体的に挙げます。さらに、目的やターゲットに合う動画の種類を選定し、予算や納期を設定します。
企画とストーリーボードの作成
動画のコンセプトやストーリーを企画し、全体の流れを決めます。ストーリーボード(絵コンテ)を作成して、シーンごとの内容や構成を視覚的に整理します。この段階で動画の長さやトーン、必要な素材を確認します。
撮影や素材の準備
撮影が必要な場合は、ロケ地や出演者、機材を手配します。また、アニメーション動画やインフォグラフィックを使う場合は、必要なデザイン素材やスクリプトを準備します。ナレーションや音楽を使う場合も、この段階で収録や選定を行います。
編集と制作
撮影した映像や用意した素材を編集して、動画を完成させます。テキストや字幕、アニメーション、BGMなどを追加し、全体のクオリティを高めます。特にBtoB向けでは、上質で信頼感を与える編集が重要です。
BtoB企業も動画を活用してマーケティングを強化しよう!
BtoBにおける動画マーケティングは、今後はさらに重要度が高まると予想されます。競合他社と差別化を図るには、BtoBならではの特徴を踏まえた動画制作・運用が大切です。社内に動画マーケティングのためのノウハウやリソースがない場合は、実績と技術のあるプロに依頼するようにしましょう。
プルークスでは、BtoB向けの動画を数多く制作してきた実績があります。多種多様なニーズに対応できますので、BtoB向けの動画を制作し、マーケティングに活用したいとお考えの方は、ぜひご相談ください。
BtoBマーケティングでの動画活用に関してよくあるQ&A
ここからは、BtoBマーケティングの動画活用に関してよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Q. BtoBとBtoCで動画制作に違いはありますか?
A. ターゲットや意思決定プロセスが違うため、それに合わせた動画を制作する必要があります。
例えば、BtoCでは視聴者が購入を決定するため、購入意欲が高まるように共感しやすい内容が求められます。しかし、BtoBでは複数の意思決定者がおり、特に費用対効果や事業上のメリットを論理的に訴求する必要があります。
Q. BtoB企業のマーケティングでは動画がどのように活用されていますか?
A. BtoB企業のマーケティングでは「認知拡大」「リード獲得」「リード育成」といったマーケティングステップに沿った動画を制作して、それぞれに適した場所で配信します。
動画の活用方法は、マーケティングに限らず社内教育やノウハウ共有、ブランディングなどさまざまです。
Q. BtoB動画を成功させるためのポイントは何ですか?
A. BtoB動画を成功させるためには、ターゲットを明確にすることや、高品質な動画を制作すること、意思決定に必要な情報を入れることなど、BtoBならではの特性を理解して制作することが大切です。