動画は、どのように編集を行うかによって、見る側の受け取る印象が大きく変わります。動画そのものに手を加えることなく、円滑な場面転換やリズム感を生み出してくれる「トランジション」は動画制作において、上手く活用すべきといえるでしょう。
本記事では、動画編集におけるトランジションの意味や種類、役割、活用例などについて基本的な情報をまとめています。動画を活用したマーケティングにおいて、集客・成果に繋がらず課題を感じている人は参考にしてください。
目次
動画における「トランジション」の意味・役割・種類とは
「トランジション」という単語はさまざまな分野で使用されています。例えば、人材分野では「キャリアの発達における成長や転換」、スポーツ分野では「攻守が切り替わるタイミング」などを意味します。
動画におけるトランジションは、主に場面転換の際に使用する効果を指します。以下では、細かな定義や役割などについて確認していきましょう。
トランジションの意味と役割
トランジション(transition)とは、英語で「移行」「遷移」「推移」「変化」などの意味を持つ単語です。動画ではカットとカットの間を自然に繋ぐために用いられる効果(エフェクト)を指します。
場面を転換したいときに、カットが変わっても画面の雰囲気が似ていると視聴者に伝わりにくい動画になってしまいます。こうした場合、トランジションを挟めば、場面転換を明確に示すことができるため、視聴者にとってわかりやすい動画になるでしょう。
また、トランジションには動画にリズムや動きを与える役割があります。適した箇所にトランジションを使用することで、動画の品質を高められるでしょう。
動画におけるトランジションの種類
トランジションにはさまざまな種類が存在します。それぞれの特徴を理解したうえで適した箇所に使用することで、動画の品質が高まるでしょう。以下では、よく使用されているトランジションについて紹介します。
・ズーム(拡大)
画面を拡大させながらカットを切り替えます。動画に躍動感や強い印象を与える際に有効です。
・ディゾルブ
前のカットをフェードアウト、後ろのカットをフェードインさせて画面を切り替えます。2つのカットが溶け合うように見えるため、自然な場面転換が実現できるでしょう。
・ホワイトイン/アウト(明転)
ホワイトインは、真っ白な画面から映像が浮かび上がります。一方で、ホワイトアウトは画面が真っ白になっていくトランジションです。画面が真っ白になって切り替わるため「明転」と呼ばれることもあります。
・ブラックイン/アウト
ブラックイン/アウトは、真っ黒な画面を使って画面を切り替えます。これは舞台でもよく利用される「暗転」と同じ手法です。没入感や緊張感を与える効果があります。
・ワイプ
ワイプは「吹き取る」という意味であり、素早く画面を切り替える効果があり、動画にリズム感を与えるトランジションです。
・スライド(押し出し)
前のカットを後ろのカットが押し出すようにして画面を切り替えます。素早く画面を切り替えられるため、動画にリズムやスピードを与えます。
・回転(スピン)
画面を高速で回転させ、元に戻ったときには画面が切り替わっているトランジションです。動画にかっこよさを与えることが可能であり、スピーディーに場面転換をしたいときによく使用されています。
動画編集にトランジションを使用するメリット
トランジションには、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、トランジションを使用するメリットについて解説します。
動画が華やかになる
動画にトランジションを使用することで、画面に動きがついて、動画を華やかにできます。視聴者にとって、より印象的な動画になれば、多くのファン獲得に繋がるでしょう。
単調な画面が続き、動画に面白味が欠ける場合にはトランジションの使用がおすすめです。
YouTubeでよく見られるような、個人がカメラに向かって語りかけるような動画の場合、どうしても画面が単調になってしまいます。話が切り替わるタイミングでトランジションを使用することで、視覚的にも楽しめる動画に仕上がるでしょう。
違和感が目立たなくなる
トランジションを使用することで、場面転換における唐突な印象や違和感が目立ちにくくなります。カットとカットの間を繋ぐ際に、そのまま画面が切り替わるよりもトランジションを挟んだほうが自然に見えるでしょう。
例えば、夜に布団に入って目を閉じるというカットの後、すぐに朝の風景のカットが入った場合には唐突な印象になるでしょう。このカットの間に暗転やディゾルブを挟むことで、眠って時間が経過して朝になったということが容易に伝わります。
動画にトランジションを使用するデメリット・注意点
トランジションを使用することはメリットがありますが、デメリットも存在します。ここでは、動画にトランジションを使用する場合のデメリットや、注意点を確認していきましょう。
動画編集ソフトによって同じ種類でも違いがある
トランジションは使用する動画編集ソフトによって見え方に違いがあります。他の動画を見て「いい使い方だな」と思って真似してみると、思ったような形にならないケースがあるでしょう。
また、トランジションにはさまざまな種類が存在しますが、動画編集ソフトによって使用可能なトランジションは異なります。また、同じ種類のトランジションでも見え方や初期のパラメーターの設定値が異なるため注意しましょう。
トランジション素材を作成、配布しているクリエイターから素材を入手することは可能ですが、動画編集ソフトによっては追加できない場合もあります。そのため、動画編集ソフトを選ぶ際には、試用版でトランジションの種類や見え方を確認しておくようにしましょう。
多用しすぎると動画の趣旨が不明瞭になる
トランジションを使用することで見応えのある動画になりますが、多用しすぎるとかえって動画内容に集中できなくなってしまいます。また、場面に合わないトランジションは動画の趣旨を不明瞭にしてしまうため注意しましょう。
トランジションが多いと動画が重くなる場合があります。SNS用の動画のように容量制限がある場合は、トランジションの使用は必要最小限に絞り込みましょう。
企業の動画におけるトランジションの活用例
品質が求められる企業用の動画では、効果的にトランジションが使用されています。ここからは、弊社で制作した動画のなかから、企業の動画におけるトランジションの活用例を紹介します。
株式会社ジェーシービー様(PROOX制作動画)
株式会社ジェーシービー様はクレジットカード事業を行っている企業です。動画はその新しい支払い方法である「スマリボ」を紹介したもので、多くの人に受け入れやすいポップな絵柄のアニメーションで構成しています。
動画では、トランジションを使用してスピード感やリズムを演出しました。一度逆方向に小さく動き、勢いよく動くスライドは連続したストーリーを表現しています。
パーソルイノベーション株式会社様(PROOX制作動画)
パーソルイノベーション株式会社様は、新規事業の創造とそのためのサポートサービスを提供している企業です。動画では、一事業である「eiicon」主催のイベントでのオープニング映像として制作しました。
トランジションをあえて多用し、多くの情報を目まぐるしく表示することで、イベントが持つ躍動感や内容の濃さを表現しています。緊張感を与える音楽や画面の明暗、タイポグラフィなども、視聴者をイベントの世界観に引き込めるように工夫を施しました。
株式会社クマヒラ様(PROOX制作動画)
株式会社クマヒラ様は、入退室管理などセキュリティシステム機器の製造や販売を営む企業です。制作した動画は、同社の「感染症対策ソリューション」についての紹介動画として、展示会やイベント、Webサイトなどで活用されました。
動画では、プレゼンテーション用スライドと実写映像の切り替えの際に、ディゾルブやスライドなどのトランジションを使用しています。トランジションを使用することで、画面転換における違和感がなく、要点が伝わりやすいプレゼンテーションを実現しました。
株式会社マネーフォワード様(PROOX制作動画)
株式会社マネーフォワード様は、金融・会計サービスを提供している企業です。動画は会社の経理業務を支援する「マネーフォワードクラウド」を紹介する内容で、ランディングページやSNSで使用するCM動画として制作しました。
トランジションは場面転換の際に用いられ、リズミカルな進行を助けています。また、映像に合わせたポップなデザインのトランジションを使用することで、動画の世界観を壊さないように配慮しました。
トランジションを活用して動画をもっと高品質に仕上げよう
動画編集におけるトランジションは場面転換でよく使用されます。適した箇所・内容に合ったトランジションを使用することで、動画の品質を高められるでしょう。一方で、多用や動画の趣旨・雰囲気に合わない使い方は、動画視聴の妨げになるため注意しましょう。
プルークスは豊富な動画制作の実績があり、高品質な動画制作が可能です。インハウスの動画制作で、品質に限界を感じている場合はぜひご相談ください。
動画のトランジションに関してよくあるQ&A
ここからは、動画におけるトランジションについて多い質問をQ&A形式で紹介します。
Q. 動画におけるトランジションとは何ですか?
A. 動画のカットとカットの間を自然に繋ぐために用いられる効果(エフェクト)のことです。
Q. トランジションの種類は?
A. トランジションには多くの種類がありますが、代表的なものには以下があります。
- ズーム
- ディゾルブ
- ホワイトイン/アウト
- ブラックイン/アウト
- ワイプ
- スライド(押し出し)
- 回転(スピン)
Q. トランジションはどこで入手できますか?
A. 多くの動画編集ソフトでは、最初からトランジションを使用できます。
また、動画用の素材配布サイトでクリエイターが作成した素材を入手できます。ただし、動画編集ソフトとの相性により使えない場合もある点に注意してください。
Q. トランジションの活用方法は?
A. 基本的には場面転換で利用されますが、演者の動きやBGMとトランジションを組み合わせて動画に動きをつけたり、演出効果を得たりする目的でも使用されます。
Q. トランジションはどうやって使用しますか?
A. 多くの動画編集ソフトでは、タイムライン上のカットとカットの継ぎ目にトランジションをドラッグ&ドロップすることで適用できます。