YouTubeをはじめとする配信サイトやSNS、モバイル端末の普及によって動画が身近になったことで、動画を活用したPRは広告や宣伝における重要な戦略の一つと見なされるようになりました。こういった広告業界の動向は法人だけではなく、各都道府県の地方自治体にも大きな影響を及ぼしていることから、各地の自治体によって制作された数々の「地方PR動画」が注目を浴びています。
この記事では、地方PR動画の定義やメリットについてわかりやすく解説したうえで、現状の課題や成功のためのポイントを紹介します。
目次
いま話題の「地方PR動画」とは?
まず、地方PR動画とはそもそも何のことなのか、その定義を説明します。制作目的や発信経路などについて知ることで、その重要性を把握できるでしょう。
地方の魅力を広くPRするために作成された動画
地方PR動画(別称:自治体PR動画)とは、特定の地域の「良いところ」を知ってもらうための映像のことです。「この地域はここが魅力的だ」といった内容を映像にして発信し、多くの人に知ってもらうための動画コンテンツです。
その目的は自治体によってさまざまです。主な目的として、観光客の増加やテレワーク移住者の呼び込み、企業誘致などが挙げられます。
特徴としては、各自治体との差別化を図るため、他にはないユーモアが溢れる動画や、地方の魅力を最大限にアピールした動画になっており、形式的なものだけでなく、見応えのあるエンターテイメント作品のようなPR動画も少なくありません。
地方PR動画の主な発信場所は、SNSや動画配信サイトなどです。TwitterやFacebook、YouTubeなどへのアップロードが可能で、不特定多数の人が視聴できるアプリやサイトを通じて広く発信されています。
地方PRに動画を取り入れると良い理由
単にPRを行うだけならば、昔から発行されてきたチラシやパンフレットなどの紙媒体でも可能です。しかし、地方の活性化に際し、動画の要素を取り入れることは、さまざまな効果を得られるでしょう。
あえて動画で地方PRを行う理由は、何でしょうか。
伝えられる情報量が多い
まず注目すべきは「映像」が伝えられる情報量です。映像はテキストだけでなく、ビジュアルや音声を同時に発信できるため、さまざまな情報を短時間で視聴者に伝えられます。「言語」だけでなく、「視覚」や「聴覚」を交えたコミュニケーションの重要性は「メラビアンの法則」(注1)としても提唱されています。
(注1)メラビアンの法則とは、1971年に心理学者であるアルバート・メラビアンによって「人はコミュニケーションを図る際にどういった情報で印象付けされるのか」を実験した結果のこと
膨大な解説文を読み込むよりも数分の動画を視聴するほうが、より多くのことをわかりやすく把握できるのです。
視聴者の記憶に残りやすい
短時間で多くの情報を伝えられる映像には、印象に残りやすいという長所もあります。理由としては、視聴者は映像を通じて得た情報は忘れにくく、思い出しやすいとされているからです。魅力的な情景を動画にして発信すれば、多くの視聴者に「この地域ならではの映像だ」と記憶してもらえるでしょう。
SNSとの連携も期待できる
地方PR動画をSNSに投稿することで、思わぬ効果が得られることがあります。SNSでは、共感を得られた投稿が他のユーザーに拡散されるといったことが、しばしば起こります。
急速に拡散されると「バズる」と呼ばれる状態になります。「バズる」とは、英語の「buzz」からきているネット用語であり、「バズる」ことで、大きなブームに繋がることもあるでしょう。
最近では、SNSでの拡散をサポートする「インフルエンサー」の活躍も目立ちます。多くのフォロワーを有するインフルエンサーに協力してもらえば、効率的かつ効果的な拡散を狙えるでしょう。
地方PRに動画活用で得られる4つの効果
地方PR動画が注目されている理由は、さまざまな効果を得られることです。地方PR動画ならではの導入効果があるからこそ、あえて取り組む意義があります。
地方PR動画がどのような効果をもたらすのか、プロジェクトに着手する前に把握しておきましょう。
地方の活性化に繋がる
動画は、短時間で多種多様な情報を伝えられるのが特徴です。例えば、写真1枚だけでは「風景の美しさ」しか伝えられないような場合も、映像であれば風景だけではなく、音やその場の雰囲気などもリアルに伝達できます。
そのため、視聴者に伝えたい地域の魅力を最大限に伝え、より多くの人々の心に訴えかけることができるのです。「おいしい料理を楽しみたい」という観光客だけでなく、「落ち着いた場所でテレワークに専念したい」という移住希望者にも、地域の魅力を訴求できるでしょう。
YouTubeなどの収益化が可能なメディアで発信する場合は、広告収入も期待できます。多くの人々に共有されることで再生回数が伸びれば、それだけ多くの広告収入を得られるでしょう。その収益が自治体の財政を支え、住民への還元に繋がる可能性もあります。(但し、Youtubeの収益化には条件があります)
地域のブランディングができる
ブランディングとは、簡潔にいえば「ライバルとの違いを多くの人に認知してもらうこと」です。「自分たちの地域はここが面白い!」「他の地域にはない、こんな素敵なものがある!」といったアピールと考えればわかりやすいでしょう。
その地域にしかない特産物や郷土料理、個性的なご当地キャラ(ゆるキャラ)を紹介することでもブランディングに繋げられます。
観光客の増加が期待できる
さらに観光客の増加も期待できます。PR動画は観光地に関心のある層に対して、地方の魅力をダイレクトに伝えることができます。
視覚と聴覚で魅力をアピールできる動画であれば、言語の壁を超えて知ってほしい内容を伝達することが可能です。
SNSは、外国人観光客の誘致においても重要な役割を担うでしょう。世界中で利用されているSNSでPR動画を発信すれば、世界中の人々に地域の魅力を伝えられます。「面白い!」と感じた海外のユーザーによって、PR動画がワールドワイドに拡散されるという展開も夢ではありません。
地方PR動画が抱える課題
地方PR動画を制作して発信しても、必ずうまくいく保証はありません。かけた費用に見合う効果を得られないこともあるでしょう。
他の宣伝方法と同じく、動画制作にあたって明確な目標やターゲット設定、内容のチェックを怠ると、期待していた効果を得られません。
動画を全く視聴してもらえない
投稿されたすべての動画が、多くの人々に視聴してもらえるわけではありません。多額の製作費をかけ、長い時間をかけて作り上げたとしても、全くといって良いほど視聴されない動画はあるものです。
そのような結果を招く要因として、「KPI(重要業績評価指標)」設定の甘さが挙げられます。あらかじめ定めた目標を達成するためには、どのような層をメインターゲットとし、どのような拡散戦略を進めていくのかを決めておかなければなりません。あいまいな見通しでプロジェクトを始動させると、満足のいかない結果に終わってしまいます。
炎上動画になりうる可能性も視野に
動画の内容があまりにもふざけすぎていたり、社会的な常識やモラルを逸脱していたりした場合、視聴者から反感を買うおそれがあり、いわゆる「炎上」の発生に繋がります。
炎上が発生すると、ブランディングの効果は期待できなくなります。むしろ「あの地方は不愉快な動画を発信して炎上した」というネガティブなイメージを持たれて、観光客や移住希望者からもひんしゅくを買うかもしれません。場合によっては動画を削除し、謝罪声明を出さなければならなくなります。そうなれば、精神的・時間的・費用的に大きな痛手となるでしょう。
動画コンテンツにはインパクトや目新しさも重要ですが、度が過ぎると逆効果です。地域の魅力を真摯にわかりやすく伝えることにも、配慮しましょう。
失敗しないために!地元PR動画の制作ポイント
地方PR動画は、導入することで大きな効果を得られる可能性があるコンテンツです。だからこそ、失敗に終わらないようポイントを押さえて制作を進めていくことが大切です。
では、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。以下で詳しく解説しますので、しっかり確認しておきましょう。
ターゲットを明確にする
まず「誰に伝えるのか」をはっきりさせておかなければ、PRは成功しません。多くの人の共感を得られるコンテンツを制作するのは、至難の業です。無理にそういったものを作ろうとしてもメッセージ性が弱く、印象に残らない動画になってしまうでしょう。
ターゲットが「30代の旅行好き」の場合と「40代の移住希望者」の場合では、作るべき動画の内容は変わります。だからこそ、事前のターゲット設定が非常に重要なのです。
制作目的と内容を明確にする
「何となく」で動き出すプロジェクトは、良い結果になりにくいものです。地域をPRするために動画を制作するのであれば、目的を明確にしておかなければなりません。PR動画を制作して何がしたいのかを、まずはっきりさせておきましょう。
観光客を増やしたいのか、それとも若い人に移住してほしいのか。地域の現状や課題と向き合って、目的を決めます。
目的が決まったら、それに沿って動画の内容を考えていきます。目的を達成するためには、目的に合った内容にする必要があります。目的が観光客の増加であれば「名所や料理の素晴らしさ」、移住者の増加なら「暮らしやすさ」が伝わる内容にしましょう。
目標を設定し常に改善してアップデート
目的だけでなく、目標の設定も必要です。例えば目的が移住者の増加であれば、「3ヵ月間の移住者数を50人増やす」といった目標を設定します。
このような数値的目標を定めておけば、ある時点でどのくらい目標に近づいているかがすぐにわかります。達成度は定期的にチェックしましょう。進捗状況が思わしくなくても、その原因を洗い出し改善していけば、成功に近づきます。
視聴者が離脱しないインパクトとストーリー性
地方PR動画で重要なのは「インパクト」と「ストーリー性」です。内容に面白味がなく、途中で離脱されるような動画ではPRになりません。単に映像が流れるだけでなく、「いったいこれは何なんだ?」「次はいったいどうなるんだろう?」といったように、視聴者を飽きさせないインパクトとストーリーが求められるのです。
地方PR動画には、ある程度の構成力と演出力が求められます。自力での制作に限界を感じるようであれば、実績のある制作会社への依頼も検討すべきでしょう。
制作後の配信先を決めておく
PR動画の内容はもちろんのこと、「どこで配信するか」も重要です。さまざまな媒体で配信したいところですが、やみくもにアップロードすれば良いわけではありません。
例えば、YouTubeとTikTokではアップロードできる動画形式が異なります。YouTubeでは問題なく配信できる動画であっても、TikTokでは配信できないことがあるのです。
そのため、複数の媒体で発信するならば配信先を事前に決めておき、尺の長さなどそれぞれの媒体に合わせて動画を制作しましょう。
動画制作会社なら効果が期待できる動画を作れます
地方PR動画は地域経済に影響を与えられる重要なコンテンツですが、ターゲットや目標の設定、構成が中途半端な状態では、期待する効果を得られないでしょう。
地元の魅力を最大限に伝えられる高品質なPR動画を制作したいなら、制作会社の力を借りることをおすすめします。
弊社プルークスでは、地方PRを目的とした動画制作や、動画を活用したユーザーとのコミュニケーション設計を網羅しているため、プロの目線で動画制作のサポートを行うことが可能です。
地域の素晴らしさを伝えられる地方PR動画を制作したい方は、お気軽にご相談ください。