企業PRや商品紹介を行う際に、動画を活用するケースが増えています。広報担当者のなかには「自社でも動画を制作したい」と思いつつも、予算の都合であきらめてしまっている人もいるのではないでしょうか。
動画制作にかかる費用は「補助金」で一部を補えるケースもあります。補助金・助成金を上手に活用すれば、動画制作にかかる費用の負担を軽減しつつ、企業のブランディングやマーケティングを行えるでしょう。
本記事では、2023年8月現在の動画制作に利用できる補助金について紹介します。
目次
企業の動作制作は補助金・助成金で補える?
結論からいうと、政府が定める要件と補助金・助成金を活用する目的が合致すれば、補助金・助成金を受け取ることが可能です。
近年では、デジタルマーケティングが普及していることもあり、動画制作に活用できる補助金・助成金が増えています。その結果、予算を確保するのが難しい企業でも、動画制作を外注したり、機材を購入したりできるようになりました。
そのため、以前に比べると企業の動画制作は身近なものになっています。補助金・助成金を活用すれば、直接的な広告・宣伝だけでなく、長期のブランディングを目的とした動画制作も可能です。
また、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、事業活動が制限されている企業も多いでしょう。営業活動が難しいからこそ、動画などのデジタルコンテンツを利用した広報やマーケティングが重要です。
以下では、2023年度の動画制作における補助金・補助金制度について解説します。
幅広い用途で活用できる「小規模事業者持続化補助金」
動画制作に関係した補助金のなかでも、対象となる事業者や対象経費の範囲が広く、利用しやすいといわれているのが「小規模事業者持続化補助金」です。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が地域の商工会または商工会議所の助言等を受けて経営計画を作成し、計画になぞった販路開拓などに取り組む際に発生する費用の2/3を補助するものです。
主に「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」があります。補助の対象になるのは、「小規模事業者」「個人事業主」「NPO法人」です。なお、小規模事業者の定義は、業種により以下のような人数に定められています。
業種 | 人数(※) |
商業・サービス業 | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業・その他 | 20人以下 |
※常時使用する従業員の数
一般型で補助対象として定められている生産性向上を目的とする取り組みは「地道な販路開拓などの取り組み」または「業務効率化の取り組み」である必要があります。
また、国の補助金と重複していないことが条件です。低感染リスク型ビジネス枠では、「サプライチェーンの毀損への対応」「ビジネスモデルの転換」「テレワーク環境の整備」などが対象になります。
補助対象になる経費は、以下の通りです。
- 機械装置等費
- 広報費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 開発費
- 資料購入費
- 雑役務費
- 借料
- 専門家謝金
- 専門家旅費
- 設備処分費(補助対象経費総額の1/2が上限)
- 委託費
- 外注費
一般型の場合補助金額は、上記費用の2/3であり、最大で50万円までの補助を受けられます。一方で、低感染リスク型ビジネス枠の補助率は3/4であり、最大で100万円までの補助を受けることが可能です。
小規模事業者持続化補助金の動画制作への活用
この補助金を動画制作に活用する場合、上記の13の経費のうち広報費、開発費、委託費、外注費などに充当できます。
1年ほどで売上につながるかを審査されるため、漠然と「動画を制作したい」「ブランディングをしたい」といった理由では通らない可能性があるでしょう。そのため、販売・成約までの筋道を立てた計画が求められます。
小規模事業者持続化補助金の申請方法
企業が補助金を申請する場合は、以下の書類を提出します。以下の書類は、公式ホームページからダウンロード可能です。
- 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1-1)
- 経営計画書兼補助事業計画書(様式2-1)
- 補助事業計画書(様式3-1)
- 事業支援計画書(様式4) ※商工会や商工会議所で作成する必要あり
- 補助金交付申請書(様式5)
- 電子媒体(CD-R・USB メモリ等) ※上記①~③、⑤のデータを入れる
- 貸借対照表および損益計算書(直近1期分)の写し ※法人の場合
- 株主名簿の写し ※法人の場合
- 直近の確定申告書または開業届の写し ※個人事業の場合
- その他(企業の状況や申請方法により異なる)
地域の商工会または、各県の地方事務局が申請窓口になっており、上記の書類をすべて用意したうえで提出します。事業支援計画書は申請前に商工会で作成してもらう必要があるため、他の書類を先に作成したうえで商工会に相談しましょう。
補助金の財源には限りがあるため、募集は複数回に分けて行われます。詳しいスケジュールや内容は、公式のWebサイトをご確認ください。
一般型:小規模事業者持続化補助金
なお、申請前に発生した経費は、補助の対象にならないため注意しましょう。
広告・宣伝費も対象になるものづくり補助金
「ものづくり補助金」も動画制作に利用できる補助金です。ものづくり補助金は、直接的な生産活動だけでなく、広告や宣伝の用途にも活用できます。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称であり、中小企業が新たなサービスを提供する際に必要となる費用を補助するための補助金のことです。中小企業における、ものづくりやサービスなどの生産性向上に取り組む企業への費用面での補助を目的としています。
ものづくり補助金には、新型コロナウイルスによる影響の対策として、ビジネスモデルの転換を目的とした投資に対する補助を行う特別枠(低感染型ビジネス枠)もあります。その名称から、生産活動に対する補助金と思われがちですが、設備・システムへの投資や外注費にも利用可能です。
また、低感染型ビジネス枠では、広告・宣伝費や販売促進費についても補助対象となるため、広い用途で活用できます。
ものづくり補助金の動画制作への活用
動画制作では、機材購入費や制作会社への外注費に補助金を利用できます。営業用や製品解説用の動画であれば、低感染型ビジネス枠を利用することで、広告・宣伝費や販売促進費の補助を受けられる可能性があるでしょう(物理的な対人接触が減ることが期待されることが条件)。
ものづくり補助金の申請方法
ものづくり補助金は、専用の電子申請システム(Jグランツ)から申請できます。システムの利用には、gBizIDのプライムアカウントとメンバーアカウントが必要です。システム内でものづくり補助金を検索し、入力フォームに必要事項を入力します。
申請を行う際に必要とされる書類は、以下の通りです。これらは、同システム内でダウンロードしたファイルを使って作成・送付します。
- 事業計画書等一式(zip形式にまとめる)
- 経費明細書
- 会社全体の事業計画
2023年8月現在は第16次の受付期間中で、応募期間は2023年11月7日までとなっています。以降のスケジュールはまだ発表されていないため、「ものづくり補助金総合サイト」をこまめに確認するとよいでしょう。
企業の業績回復をサポートする「事業再構築補助金」
新型コロナウイルスの感染拡大により「事業活動が思うようにできない」と悩んでいる人も多いでしょう。そういった企業が利用しやすいのが「事業再構築補助金」です。
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルスによって事業悪化した中小企業を対象に事業再構築を支援する制度です。「最低賃金枠」「産業構造転換枠」など合計6種類あります。
業況が厳しい場合は「最低賃金枠」もしくは「物価高騰対策・回復再生応援枠」を検討することをおすすめします。
事業再構築補助金の動画制作への活用
事業再構築補助金の補助対象には「広告宣伝費・販売促進費」が含まれています。例えば、認知度拡大を目標とした動画広告を導入したり、売上向上を目的とした動画広告を制作したりする際に活用できます。
ただし、事業再構築補助金は類型によって申請条件が定められており、該当しない場合は活用できません。そのため、事前に確認するようにしましょう。以下は「最低賃金枠」の申請条件です。
- 2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が2019年~2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 2021年10月~2022年8月までの間で、3ヶ月以上にわたって最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業の10%以上いること
事業再構築補助金の申請方法
事業再構築補助金は、jGrants(電子申請システム)から申請可能です。まずは「GビズIDプライム」を作成する必要があります。GビズIDプライムの作成方法は、以下の通りです。
- アカウント申請に必要なものを準備(SMS受信用のスマホ、印鑑(登録)証明書、登録印)
- パソコンにてGビズIDプライム申請書を作成
- 申請書を印刷して押印
- 申請書と印鑑(登録)証明書を郵送
- 1週間程度で審査完了メール受け取り
なお、GビズIDプライムはアカウント発行までに時間がかかる場合もあるため、早めのID取得をおすすめします。アカウントが作成後は、事業再構築補助金総合サイトから申請を行いましょう。
2023年8月時点で公募は終了していますが、今後再開される可能性もあります。そのため、「事業再構築補助金総合サイト」を随時確認しておきましょう。
自治体の補助金も活用しよう
地元企業を支援するため、さまざまな補助金事業を行っている自治体もあります。自治体の補助金は、国の補助金と併用できる場合もあるため、上手に活用しましょう。
自治体独自の補助金
補助金と聞くと事前に審査があり、なかなか通らないのではと考えている人もいるでしょう。しかし、自治体が独自に行っている補助金は、要件さえ満たせば審査に通りやすいため、検討する価値は十分あります。
なかには、動画制作に特化したユニークな補助金を実施している自治体もあります。所管の自治体で利用できそうな補助金がないか、チェックしてみてはいかがでしょうか。
以下では、自治体で過去に実施していた補助金を紹介します。
荒川区:魅力発信動画製作補助金
東京都荒川区の魅力発信動画製作補助金は、地域の小規模事業者向けの制度です。
自社の経営上の魅力や強みを動画サイトでPRする動画の制作を支援します。動画制作事業者への制作委託費が対象であり、自社用の機材購入は補助の対象外です。なお、補助率は1/2(最大10万円)です。
丹波篠山市:企業PR動画制作補助金
兵庫県の丹波篠山市の企業PR動画制作補助金は、市内を勤務地とする新規学卒者等の採用計画を有する市内の事業所を対象とした補助金です。
人材採用を目的としたPR動画の制作にあたって、外部事業者への委託費や自社で制作する際の機材等レンタル費、動画編集等ソフトウェア購入費、消耗品等の費用を補助します。補助率は対象経費の3/4、上限は75万円です。
北上市:魅力発信動画制作費補助金
岩手県の北上市が行っている魅力発信動画制作費補助金は、市内企業への若年層の就労促進を目的とした企業紹介動画を制作する企業向けの補助金です。
外部の事業者に動画制作を委託する際の費用の1/2(最大10万円)まで補助を受けられます。
このように、独自の補助金・助成金制度を行っている自治体もあります。そのため、自社で活用できる補助金・助成金制度がないか、自治体のホームページを確認してみてください。
動画広告をビジネスで活用するメリット
動画広告をビジネスで活用すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここからは、特に理解しておきたい3つのメリットを解説します。
多くの人に視聴してもらえる
総務省が公開している「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」では、テレビよりも動画投稿サービスを視聴する人が増えていると発表されています。
つまり、動画広告を取り入れることで、多くの人に視聴してもらえる可能性があるでしょう。特に、若者を中心にYouTubeの利用率が高い傾向にあります。例えば、若者向けの商材を取り扱う企業であれば、YouTubeに動画広告を掲載することで、多くの人に認知してもらえるでしょう。
拡散してもらえる可能性がある
昨今では、TikTokやTwitter、InstagramなどのSNSを利用する人が増えています。これらのSNSは拡散力が高い特徴があるため、視聴者に「他の人に共有したい」と思ってもらえれば大きな拡散が期待できるでしょう。動画広告が拡散されれば、自社の認知度や売上などの向上につながります。
購買意欲を高められる
動画広告をビジネスで活用すると、音声や映像などで表現できるため、視聴者の印象に残りやすくなります。特に、商品やサービスの仕組みを理解するには、アニメーションなどの技術を活用することが効果的です。
動画であれば、自社商品に関する特徴をわかりやすく簡潔に紹介できます。文章ベースで伝わりづらい内容もアニメーションを活用すれば、視覚的に理解できるため、購買意欲の向上も期待できるでしょう。
動画広告の基礎について、以下資料でまとめています。気になる人は必要項目を入力後、ぜひダウンロードしてください。
企業で活用されている動画事例について
動画広告をビジネスで活用することについて、明確なイメージが湧いていない人もいるのではないでしょうか。ここからは、弊社で制作した企業向けの動画から成功事例を3つ紹介します。
キャリアリンク株式会社様(PROOX制作動画)
キャリアリンク株式会社様は、製造現場に関わるすべての業務に人材派遣や業務請負などを行っている企業です。制作した動画は、WEBCMのアニメーション映像となっており、視聴者が思わず笑ってしまうような楽しい映像に仕上げています。
株式会社Grand Central様(PROOX制作動画)
株式会社Grand Central様は、営業戦略設計からインサイドセールス、セールスコンサルティングなどを中心に行っている企業です。弊社では、長尺・短尺の動画を2つ制作しました。制作した動画は、展示会用としてご活用いただいております。
展示場で注目を集めるために、スタイリッシュな演出を施しました。また、テロップの量を絞ることで「営業革命を実現する」といった伝えたいメッセージを明確化しています。
キャディ株式会社様(PROOX制作動画)
キャディ株式会社様は、製造業の受発注プラットフォームを提供している企業です。制作した動画では、図面データ活用クラウドの「CADDi DRAWER」を紹介しています。
自社の課題が明確化していない視聴者にも刺さるように、サービスの概念や導入後の世界観が伝わる内容に仕上げました。また、機能面だけではなく、情緒面も描くことでDXの必要性を訴求する内容にしています。
補助金を活用し動画制作を依頼しよう
国や自治体が行っている動画制作に活用できる補助金は、要件さえ満たせばどの企業でも申請できます。ただし、成果物や成果のチェックが行われるため、計画に沿った動画制作が必要です。
弊社では、動画制作の目的と補助金の性質を踏まえた動画の制作が可能です。補助金を活用した制作実績もあるため、。補助金申請後の動画制作や成果の出る動画制作をお考えの際は、ぜひご相談ください。
動画制作における補助金に関してよくあるQ&A
最後に、動画制作における補助金に関してよくあるQ&Aを3つ紹介します。動画制作における補助金に関して疑問を感じた際は、下記の内容を参考にしてみてください。
Q. 現時点で動画制作を行う際に申請できる補助金を教えてください
A. 2023年8月時点では以下の補助金が申請可能です。
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
ただし、制度によって申請条件が異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
Q. 動画広告を導入するメリットは何ですか?
A. 動画広告を導入することで「多くの人に視聴してもらえる」「購買意欲を高められる」などのメリットがあります。
また、現代ではSNSを利用する人も多いため、動画を拡散してもらえる可能性もあるでしょう。
Q. 動画制作を依頼する際の費用感について教えてください。
A. 動画の種類や制作会社、撮影機関などによって異なります。
動画制作の費用感について、弊社では無料でダウンロードできる資料をご用意しています。気になる人はぜひご確認ください。