ユーザー調査から生まれた「推し活」というテーマ
今回のCMを企画した山田さんが、シェアラジコをより多くのユーザーに使ってもらうために着目したのが「推し活」です。
山田さん「radikoユーザーへのアンケート調査およびインタビューでは『推し活』がきっかけでradikoを使い始めたという声が多数寄せられたんです。『ラジオで推し活』 は多くのリスナーの共感を呼ぶと考え、このテーマでCMを作ろうと企画しました」
好きなタレントやアーティストを応援する「推し活」は近年大きな広がりを見せています。SNSが一般的になったことでファン同士がつながりやすくなったこともあり、幅広い層に浸透しました。山田さんはこのトレンドを捉え、ラジオと推し活の親和性を最大限に活かす戦略を描きました。
初期提案のズレと、それを乗り越えたコミュニケーション
プルークスが初期に提案したのは、女子高生を主人公とした女性アイドルの応援ストーリーでした。しかしこの提案を受けた山田さんは「これじゃないな」と思ったそうです。
女子高生が女性アイドルを推すという設定は、男性層や異なるジャンルの番組を聴いているリスナーには共感を得にくいのではないか”と感じたためでした。
シェアラジコは、年齢や性別に関わらずより多くのリスナーに利用してほしい機能です。山田さんは、このストーリーでは今回のCMの目的=シェアの拡大を達成できないと懸念し、改めて今回のCMの目的をプルークスに説明したうえで、リスナーがシェア機能を使いたくなるにはどうすればよいのか、という議論を行いました。
このフィードバックを受け、短期間で提案内容を大幅に刷新。プランナー、CMディレクターが一丸となり、リスナーの共感を呼ぶ映像とはどのようなものか、どうすればシェアラジコの魅力が伝わるのかを一から練り直しました。
共感を呼ぶストーリーへ。男女二人の主人公で幅広い層にアピール
プルークスが新たに提案したのは、登場人物を男女二人にするというアイデア。都会に住む女子高校生と地方暮らしの男子高校生がそれぞれアイドルと芸人を推すという設定です。女性リスナーはアイドルの番組を、男性リスナーは芸人の番組を聴く人が多いという実際のデータに基づき、男女ともに共感を得るストーリーを提案しました。
山田さん「1ヶ月でここまで変わるのかと、とても驚きました。ミーティングでお伝えした私の想いをしっかり読み取ってくださったんだなと思いました。アイデアの豊富さと底力はプルークスさんならではだと思います」
映像では、平凡な日々になんとなく満たされない思いを抱いている2人の主人公が、推しに出会うことで、推しのいる日常やラジオで推し活をする楽しさによって生活が彩られていく様子が描かれています。推しの番組をシェアすることで広がる推し活の輪や充実感も生き生きと表現しました。
山田さん「毎日に大きな不満はないけれど、ちょっと物足りないなと感じている方って実はすごく多いのではないでしょうか。その方たちの充実度がラジオによって上がるというのは私たちにとって幸せなことです。その変化を構成に組み込んでいただけたことも、嬉しかったです」
さらに、シェアラジコを通して、主人公の2人がそれぞれの推しが出演する同じ番組を聴くことでつながるという演出も、山田さんがラジオの特性と評価している点です。
山田さんは、初期提案の段階でプルークスと綿密に議論を重ねたことが、結果的に非常に実のあるものであったと感じていると語っています。プルークスにとっても、お客様への理解を深め、目的を果たす映像を作るための貴重な機会となりました。
神は細部に宿る。リアリティへのこだわりが共感を生む
今回のCM制作において、山田さんは特に「推し活」シーンの描写とシェア機能の表現にこだわりを持たれていたため、主人公がコラボカフェに行く様子や、部屋に飾られた推し活グッズなどのリアルな描写によって視聴者の共感を高めることを目指しました。また、SNSで番組が次々とシェアされていく様子を視覚的に表現することで、シェアラジコの魅力を臨場感とともに効果的に伝えています。
山田さん「リアルさが伝わらなければ共感してもらえません。実際にCMを見てくださった方に『私もシェアしてみよう!』と思ってもらうことが大切です。リアリティやシェアの演出は今回の施策の目的につながる重要なポイントですので、私としてもこだわりました」
プルークスは、人気声優のキャスティングや楽曲の選定も支援し、CMの世界観を大切にすることにこだわりました。
限られたスケジュールの中でも、綿密なコミュニケーションと明確な段取りによって高品質な映像が実現できたと語る山田さん。プルークスの仕事の進め方についてもご評価いただきました。
YouTube再生数約40万回!年齢問わず高評価
完成したCMはYouTubeで約40万回再生され、TikTokでも好反応を得ています。また、radikoのユーザー数やMAUも増加傾向にあり、効果が数字にも徐々に表れています。
「ストーリーに共感できた」という声も多く、山田さんが重視した「共感」を得るためのこだわりがユーザーの心を掴んだといえます。また、社内の上層部や、ラジオ局の皆さんからも評価が高かったそうです。
山田さん「推し活って最近の言葉ではありますが、日本には昔から人を応援する文化があるように思います。推しの対象は時代で変わっているとしても、日本人の皆さんには、誰かしらのファンになったり応援したりした経験があるのではないでしょうか。だからこそ、幅広い年齢層の方に今回のCMが評価いただけたのかなと思っています」
聴くだけでなく「参加する」楽しみを増やしたい
左より、プルークス プランナー中村、プランナー吉岡、山田さん
radiko社では今後「聴く」だけでなく「参加する」楽しみを提供するサービスへと進化させていきたいと考えています。
山田さん「radikoを通じてファンクラブに入れたりグッズを買えたりするなど、ラジオを聴く以外の楽しみを付加価値としてつけられたらいいですね。番組へのコメントやメールも、radikoから送れたら便利だと思いませんか?参加する楽しみや、人と人がつながるような楽しみをもっと増やしていきたいですね」
プルークスは今後も、radiko様をさまざまな側面から応援できたら幸せです。
山田さん、ありがとうございました!